NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)は、その“非課税”という特徴が前面に押し出されていますが、本来は私たち国民に対する自助努力に基づく資産形成を後押しする制度として生まれたものです。
「貯蓄から投資へ」という言葉を耳にしたことがある方は多いかと思います。実は、2001年に政府の方針として打ち出されたもののあまり進まずという状況でしたが、この度、岸田首相が「所得資産倍増を実現する」と表明したことから改めて注目されています。
税制優遇をつけてまで推進したいNISAやiDeCo。国はなぜ、そんなに私たちに資産形成を促したいのでしょうか?
どうして国は税金を優遇してくれるの?
“税金が優遇される”ということは、「本来納めなければならない税金を納めなくても良いですよ」ということですよね。
仮に日本の景気が良く、税金も国にたっぷりと入ってきて財政的に全く問題ない!という状況であれば理解もできますが…。日本は財政に余裕があるのでしょうか?
直近の数字にはなりますが、2022年度の国の一般会計歳入(国の収入)の予算のおよそ34%が公債金。つまり、国の財政は借金して税収等の不足分を賄うことで収支のバランスを取っているのが現状であり、決して財政に余裕があるわけではなさそうです。
これは一般家庭の家計で例えるなら、お給料だけじゃ生活ができないので日々の生活費の3割以上を借金で穴埋めしているようなもので、一般家庭の家計なら破綻しているレベルと言えます。
このように、日本は財政に余裕がない状況にも関わらず、なぜ税制優遇制度を取り入れているのでしょうか?
繰り返しになりますが、税制優遇することによって税収は不足します。ですが、国は税収の不足分を借金(国債発行)で補ってでも国民にその制度を利用してほしいという強い意思を込めているといっても過言ではなさそうです。
税制優遇制度は色々ありますが、今回は、国民の資産形成のための税制優遇制度についてあらためておさらいをし、その制度が出来た背景となる国からのメッセージについて考えてみましょう。