絶版漫画を無料で読める「Jコミ」

『ラブひな』や『ネギま!』で知られる人気漫画家の赤松健氏が2010年から2011年にかけて立ち上げた、比較的新しいデジタル漫画サイト。すでに絶版となった作品をデジタル化し、広告を入れて無料公開している。パソコンのブラウザ上で気軽に読むことができて、スマホにも専用アプリがある。

ユニークなのは漫画家が立ち上げたサイトのためか、私たち一般読者に配慮しているのはもちろん“漫画家の利益”もきちんと考えていること。広告から得られた収益は作者に支払われ、なんと還元率は100パーセント! 出版社による漫画家からの搾取が取りざたされる昨今、この数字は驚きだ。読者はもう発行されなくなった作品に触れることができ、作者は絶版作品から収入を得られるという、双方にとって嬉しいシステムだ。

公開されている作品を年代別にみると、1970年代から比較的新しい2000年代のものまで幅広い。ジャンルも少年漫画だけでなく、少女漫画や成人向け(R18)までさまざま。『燃える!お兄さん』『ハイスクール!奇面組』といった往年のジャンプ漫画も全巻配信されている。アニメ化された赤松氏自身の出世作『ラブひな』は必読。

正式公開からわずか2年半に400以上のタイトルを揃えるという早いペースでラインナップが拡充されていて、おそらく今後もまだまだ伸びていくだろう。「あっ、これ読みたくて探してたんだ!」と意外な作品に出会えるかもしれない。

 

将来の人気作を発掘したい人は

青空文庫とJコミは出版実績のあるタイトルを扱っているが、まだ広く知られていないウェブ小説・ウェブ漫画にも傑作はたくさんある。

とはいえ一般人は24時間ずっとネットに張り付いているわけにもいかないので、時間に余裕がなければコアなユーザーが作ってくれたまとめ記事を読むのが一番てっとり早かったりする。「人気 WEB漫画」「注目 WEB漫画」などで検索をかけると、話題のウェブ漫画をがっつりまとめたページが出てくるはずだ。

まずはその中からお気に入りの作品を見つけ、そこから同じ作者の別タイトルへ足を伸ばすなど、少しずつ範囲を広げていくといいだろう。

もう少し自力でマニアックに発掘作業(?)をしたい人は、作品投稿できるサイトを逐次チェックしておくのもオススメ。たとえば2ちゃんねる発祥の小説・漫画投稿サイト「新都社」はそのひとつ。さすがに全部の作品が商業レベルとはいかないが、中にはプロ顔負けのクオリティを誇るものもある。2013年10月に双葉社から刊行された『キャッチャー・イン・ザ・トイレット!』も、新都社への投稿小説が原作。ぐいぐい引きこまれていく文章とストーリー構成の名作ジュブナイルだ。

近年は、ウェブ漫画が話題となって単行本化されるケースも増えてきた。『旦那が何を言っているかわからない件』『中国嫁日記』『となりの801ちゃん』などユニークな視点の作品が多く、出版社の編集会議を通さなくてもこれだけのクオリティが実現できるのかと驚かされる。こうした“将来の人気作”をいち早く見つけ出す、そんな楽しみ方もいいものだと思う。

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。

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