柚香光

トップスター・柚香光(ゆずか・れい)率いる宝塚歌劇団花組が、1939年公開の傑作オペレッタ映画『鴛鴦歌合戦』を、小柳奈穂子の脚本・演出でミュージカル作品として上演。

長屋住まいの貧乏浪人・浅井礼三郎と隣家の娘・お春の恋の鞘当てに、骨董狂いの殿様・峰沢丹波守を巻き込んでの騒動を、宝塚歌劇ならではの演出で華やかにお届けする。「着流しでお芝居をするのが楽しみ」と話す柚香に、今作に向けての思いを聞いた。

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  • オペレッタ・ジャパネスク『鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)』
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さまざまな想像を巡らせて役作りを

本作の上演が決まり、初めて原作となる映画を観て衝撃を受けたという。「戦時中ということが信じられないくらいに、オシャレで軽快で。今観ても、心が躍るような映画が製作されていたことにすごく驚きましたし、この作品を舞台でやるとどんなふうになるんだろうとワクワクしました」。

柚香光

稽古場では多くの課題と向き合いながらも、楽しんで稽古に励んでいる。「音楽が、なんとも癖になるものが多く、個人的には殿様の曲とか、おとみちゃんの取り巻きの歌も好き。頭の中でずっと流れてしまうような曲がたくさんあるので、みんな笑いながらお稽古しています」。

演じる礼三郎は、映画では片岡千恵蔵が演じた役。その匂い立つような色気、存在感をどう出せるかが今回の課題だ。「カッコよさの中にある抜け感、包容力。肩の力が入っていない色気……。千恵蔵さんが登場したときの存在感というのは本当に印象に残っていますので、私も今回、場面ごとにどんな色を匂い立たせられるかが役作りのポイントだと感じています」。

一方で、礼三郎は女性に不器用な一面もある。「女性をエスコートすることに慣れてしまっていますので(笑)、女性に対して不器用で受け身なところを意識しながら役を作っています。ただ、恥ずかしいから苦手というわけではなく、人と深く関わることを避けているようなところがあって。何かをきっかけに、少し距離を置くことになったのでは、と。

彼がどんなバックグラウンドを持っているのか、どんな経緯で侍から浪人になったのかというのは、彼の人となりを形成していく大事な部分ですので、今はいろんな想像を巡らせています。きっとすごく誠実で、清廉潔白な人なのではないでしょうか」。