わが子には、人に会ったら笑顔で「こんにちは」と挨拶する、お行儀のよい子に育ってほしいですよね。
でも、見知らぬ人に愛想を振りまく子に育ててしまうのも、「誘拐されるのではないか?」と心配になってきませんか?
どのようにしつけたらよいのか、『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』の立石美津子がお話しします。
マンションのエレベーター内で黙っている子
私の住んでいるマンションには幼児、小学生がたくさんいます。エレベーター内や郵便ポストのコーナーで一緒になったとき、自ら進んで「おはようございます」と挨拶できる子もいれば、私が「おはよう」と声をかけても無視を決め込む子もいます。
後者の子は、管理人さんが「おはよう」と言っても、知らん振りして前を通り過ぎていきました。
こちらから挨拶しても、逃げるように行ってしまう子…これでは、他人から「可愛げのない子」というレッテルを貼られてしまいます。
「挨拶止めよう」という提案も
かつて、新聞にこのような投書が掲載されたことがあります。マンションの管理組合理事を務める人が、マンションの住人から、「知らない人に挨拶されたら逃げるよう子どもに教えているので、マンション内では挨拶をしないように決めてください」と提案されたというものでした。
都心には世帯数が1000を超える高層マンションもあります。子どもは同じマンションの住人について“知らない人”とするか、 “安心してよい人”とするかの区別がつきません。また、マンションの入り口がオートロックであっても隙を見て住人でない人が入ってくることもあります。
こうなると「マンション内の人も“見知らぬ人”の部類に入れてしまった方がわかりやすい」と考えるのも頷けます。
けれども、挨拶さえしない関係になってしまうと地域住民の関係が希薄になり、いざ、困ったとき「助け合い」ができなくなります。
子どもが危険な目に遭いそうになったとき、救いの手を差し伸べてくれるのは同じマンションの住人かもしれません。しかし、エレベーター内で無視される関係だと、これも叶わないかもしれません。
子どもへのベストな伝え方は?
・マナーも教えなければならない。
・防犯意識も植え付けなければならない。
子どもにどう教えればよいでしょうか。
たとえ「知らない人について行ってはダメよ」と教えていても、普段、道でよく見かけるおじさんから次のように言われたら、子どもはついて行ってしまいます。
「お菓子を買ってあげるからついておいで」
「お母さんが交通事故にあって病院に運ばれたんだって。今からおじさんの車に乗ってお母さんのところへお見舞いに行こう」
「道に迷ってしまって、助けてほしいんだ。車の後ろに乗って案内してくれない?」
「知らない人」という表現は、子どもにとっては曖昧でわかりにくいのです。ですから、次のように具体的に伝えましょう。
「○○ちゃんのママ、○○ちゃんのママ、幼稚園の先生、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんではない人が『車に乗りなさい』と言っても、絶対に乗ってはいけないよ」
「他人は疑え」と、しつけたくはありませんが、物騒な世の中です。子どもに危機感を持たせるためにも「ちょっと知り合いの人には挨拶はする。でも、家について行ったりはしない」ようにしっかりと教えていきましょう。