“デパートでおもちゃを欲しがって地べた泣きする”“いつもと同じ道を通りたくて座り込んでしまう”…ママにとっては凄く困ってしまう、これらの子どもの行動。

でも、もしかしたら困っているのは子どもの方かもしれません。

子育てしていると「どうしてそんな我儘言うの?」と感じたり、親の思う通りに動いてくれないことに対してイライラをぶつけてしまうことってありますよね。

大人にとって困った行動、もしかしたら困っているのは“子ども本人”なのかもしれません。そして、ママに対して「僕の、私の気持ちをわかってくれない困ったママだ」と思っているのかもしれません。

どういうことなのか、『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』の著者の立石美津子がお話しします。

親を困らせる子どもの行動あれこれ

1.「いつもの道順で帰りたい!」と座り込んで大声を出す子

先日、筆者はある勉強会に参加してきました。「次の場面に出くわしたとき、あなただったらどうしますか?」という課題でした。

「ある日のこと、いつも通って帰る道が工事中で通れない状況になっていました。けれども、子どもはその場に座り込み大声を上げます。困ったママは子どもを叩き、抱えて引きずるように連れて帰りました。そして、家に帰ってからも大声を出したこと、地面に座り込んだ行動を叱りました」

ママの立場に立ってみると、

  • 「工事中の道を通る訳にはいかない」
  • 「家に帰ってからやらなくてはならない家事が山盛りだ。夕飯の時間が遅れてしまう。遠回りするわけにはいかない」

ママのとった行動は正論です。けれども、もし子どもが流暢に言葉を話せたら、次のように言っていたかもしれません。

「僕はいつもと同じ道を通らないと不安でどうしようもないんだ。それなのに、どうして大人は僕の気持ちをわかってくれず、『迂回せよ』と命じるんだ。

僕はどうしようもなくなってうずくまった。そして、何とかしてもらいたいと思い、大声をあげた。それなのに座ったことも声をあげたことに対しても叩かれ、帰宅後もまた叱られた。怖いよ。もう外には行きたくないよ」

もしかしたら、この子は想像力の障害があり、見通しが立たないことに不安を覚える自閉症の子どもなのかもしれません。けれども、定型発達児であっても一定のパターンを好んだり、子どもなりのこだわりがある場合があります。

解決策

日常生活を送っている中で、子どもの望みを叶えてやれないことはたくさん起こります。

工事現場のおじさんが「この子のこだわりを聞いてやり、この道を通らせてあげよう」とはしてくれません。もし、そんなことをして怪我をさせてしまったら、責任が問われます。

こんなときは、次のように子どもを納得させましょう。

  1. いきなり子どもを叱らないで、「いつもの道を通りたいよね」と一旦、気持ちに寄り添う。「うん、そうだ!そうだ!わかる~わかる~その気持ち」と言葉に出し、共感してやる。
  2. 元いた場所に引き返す。
  3. なぜ通れないか理由を説明する。いつもの道が工事中で危険になったことを納得するまで話をする。
  4. そのために“迂回路”が用意されていること説明する。
  5. 迂回路を使うことにより早く家に到着し、大好きなパズルや電車遊びができる、「我慢すれば楽しいことが待っている」と伝える。

すんなり「はい、わかりました」とスタスタ歩くとは限りませんが、たとえ泣いたとしても頭の中では理解しているはずです。そして、今後、同じことが起こったとき、声の上げ方はトーンダウンするでしょう。