“褒めて育てる”にはちょっとしたコツが必要です。むやみやたらに褒めちぎる子育ては、“叱り続ける子育て”と同じくらい良くないことなのかもしれません。

「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子が詳しくお話しします。

褒め過ぎて起こることと、その解決策

褒められないとやらない子になる

たとえば「ゴミを捨てて、本当にいい子だね」などの褒め方ばかりしていると、もしかしたら、そこに誰もいなかった場合、ゴミを拾わない子になってしまうかもしれません。

これは実際にあった話です。保育園で「○○ちゃんは○○するから本当にいい子だね」と褒め過ぎていた保育士がいました。園児はその保育士の気配を察したときだけ、急に良い行動をするようになっていきました。

また「褒めてもらいたい」気持ちが高じて、褒められるために手段を選ばなくなるケースもあります。例えば、ゴミが落ちていないのに、わざとゴミを落として、大人が来たらゴミ箱に捨てるなどの行為です。

©あべゆみこ

「○○だからいい子」という、条件付けの褒め言葉は良くないのかもしれませんね。

褒められることが「当たり前」になってしまう

子どもが何をしても「凄いね~。偉いね~。かっこいいね~。素敵だね~」と連呼していたママの子。

次第にこの言葉がBGM化し、感覚が麻痺していきました。その子は次第に褒められても特段嬉しくなくなってしまいました。

同様に、叱るときも年中無休で「ちゃんとしなさい!きちんとしなさい!しっかりしなさい!」と機関銃のように言っているママがいますが、これもBGM化していくと“馬の耳に念仏”状態。叱られても何とも感じない感覚になっていきます。褒め過ぎも同じですね。

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本当に褒められることをしたとき、「ここぞ」というときだけ褒めましょう。

社交辞令だとバレる

子どもを親の思い通りにコントロールしようと、「凄いね!偉いね!」を連呼していると、最初のうちは子どもも嬉しくなって、「もっと褒められよう!」と頑張ります。

けれども、大したことをしていないのに、この褒め言葉が続いたり、また的外れな褒め言葉をかけ続けていると、やがて子どもは「口先だけの“社交辞令”だ」と見抜きます。

そして、それ以降「ママは僕になんとかやらせようと思って、心にもない褒め言葉を使っている」と思うようになり、良い行動をしなくなることもあります。

上から目線と感じる

「○○したからあなたは偉い!」という言い方は、ある意味“上から目線”です。

例えば、本来、夫婦は対等な立場なのに、もしあなたが皿洗いをしているとき夫から「お皿洗いをしていて偉いね」と言われたら、ちょっとカチンときませんか?

親子は対等ではありませんが、片付けなど、子どもがやって当然の行為に対して「凄い、偉い」と褒め言葉をかけ続けていると、出来て当たり前のことをいちいち大げさに褒められて、「上から目線!バカにされた!」と子どもだって感じてしまうこともありますよ。