新幹線で地方部に出向く際、あるいは地方部から都心部に出向く際、気になるのが各地の駅弁です。
しかし、近年は2千円に近い価格の駅弁も少なくありません。「これから遠出するぞ!」というテンションで、2千円の駅弁でも躊躇なく買うこともありますが、よくよく考えてみると、1食、それも弁当で2千円というのは結構高いです。
また、往復それぞれで2千円の駅弁を買った場合は、それだけで4千円前後の出費となり、「少しでも安いところを」とがんばって調べた宿泊先の苦労も水の泡……とは言い過ぎですが、しかし、何かと出費が嵩む旅路においてはできるだけ節約するに越したことはないでしょう。
他方、こういった高額駅弁に紛れて、千円以下を貫くストイックな駅弁もあります。確かに2千円の駅弁の豪華さには及びませんが、かと言って味のクオリティは負けているわけではなく、いずれも美味しいものばかり。
今回はこういった「千円以下を貫くストイック駅弁」を5種、食べ比べしながらご紹介したいと思います。
【日本ばし 大増】「チキン弁当」900円(税込)
まずは、千円以下のストイック駅弁の代表格とも言うべき【日本ばし 大増】の「チキン弁当」をいただきます。
こちらの駅弁、新幹線の主要駅で見たことがある人はかなり多いと思いますが、実は59年前から売られ続けるロングセラー駅弁で、「上皇陛下が新幹線移動される際に召し上がられる」として知られているとのこと。
「チキン弁当」の中身はほんの少しの卵が乗ったチキンライスと、唐揚げ、ウインナー、漬物ですが、特筆すべきはこの唐揚げの美味しさです。
今流行りのカリカリの白っぽい唐揚げとは異なるものですが、一口食べると、衣・鶏肉に付けられた、しっかり目の味わいが口いっぱいに広がります。
特に昭和世代にとっては「唐揚げと言ったらやっぱりコレ!」とも言うべき味わいで、次々に食べたくなるヤミツキ感があります。
歴史があり、ある意味で「皇室ご用達」でもあるこの味わいが、900円(税込)でいただけるなんて嬉しい限りですね。
【日本ばし 大増】「30品目バランス弁当」1000円(税込)
続いては、「チキン弁当」と同じく【日本橋 大増】による「30品目バランス弁当」をいただきます。
このど直球の商品名にどことなく昭和感が漂いますが、その名の通り、1つの弁当で30品目の食材を使ったもの。聞けば2分の1日分の野菜もこの弁当だけで摂ることができるのだそうです。
駅弁の蓋を開けると、ところ狭しと様々な具材がずらっと並んでおり、楽しい気分にさせられますが、実際に食べてみてもさすが老舗の【日本橋 大増】。どのおかずにも繊細な調理の技が光り、素材の風味を存分に感じることができました。
個人的には白醤油に漬けた後焼き上げたという赤魚が美味しく、添えられた野菜類はもちろんご飯との相性もバッチリのように思いました。