シンプルに「やりたい」と思えた脚本
――登場人物の心情や物語の結末を含め、「理解できない」と感じる部分も多い、解釈に幅のある今回のようなストレートプレイの魅力をどのような部分に感じていますか? おふたりとも、幅広い層の人々に向けて作られた大規模な作品に数多く出演されてきましたが、そうした作品との違いや面白さを感じる部分はどんなところですか?
稲垣 全国ネットのテレビでも東京ドームでも小劇場であっても、やることは変わらないですし、区別はしてないです。ただ、もしかしたら、エンターテイナーやアイドルという存在は、なるべく人を傷つけず、広く万人に“合格点”をもらえるようにやっていかなきゃいけないという思いはどこかにあったかもしれません。
いまでもその思いはありますけど、もう少し自分がやりたいことをやろうという気持ち、決して多くの人に理解はされないかもしれないけど、やってみたいという気持ちはグループを解散してから出てきているのかな?と思いますね。
いや、昔からあったのかもしれないけど、やれなかったし、求められてもいなかったのかもしれないし、やりたいことと求められることで悩むというのはこの世界、よくあることですよね。ただ、今回の物語に関しては、まず何より、この本に魅力を感じてシンプルに「やりたい」と思えたというのが一番の理由です。
真飛 私はミュージカルをやることが多かったですけど、プロローグからエピローグまで、ひとりの人物の人生を描いたり、ものすごい時間が流れたり、壮大なスケールで描くことが多いですよね。見る方にとっても、それは丁寧でわかりやすいとは思います。
横山さんの作品は、みんなが見た後に「あれってさ…」と話したくなるんですよね。理解できなかったり、感情移入できない人物もいたりするし、でもどこか憎めない……。
私自身、まだ理解できていない部分もあるんですけど、結末も含めてわからなかったりするからこそ、余韻があって、「面白がる」ことができるんですよね。ドラマと違って、毎日、同じことをやるけど、同じものはなくて、“答え”もなくていいんですよね。そこを演じる側も観る側も面白がっていけたらいいのかなと思っています。
ヘアメイク/金田順子[June](稲垣吾郎)、yumi[Three PEACE](真飛聖)
スタイリング/栗田泰臣(稲垣吾郎)、津野真吾[impiger](真飛聖)
衣装協力/ソブ(ブラウス ¥37,400税込)、ダブルスタンダードクロージング(スカート ¥35,200税込)、その他、スタイリスト私物(真飛聖)
取材協力/シャングリ・ラ 東京
公演情報
脚本:横山拓也
演出:眞鍋卓嗣
演出:稲垣吾郎 /
真飛聖 杉田雷麟・小澤竜心(ダブルキャスト) 竹井亮介 橋爪未萠里/
石橋けい 相島一之
2023年10月6日(金)~2023年10月22日(日)
会場:東京・日本青年館ホール