「普通じゃないこと」だと気がつき…

既婚の元彼から「好きだよ」「早く会いたい」とLINEでメッセージが飛んでくるたび、Aさんは「私も」と返しながら心がふわふわと浮くような気持ちで過ごしていました。

「初めて寝た次の週に、彼が『嫁が実家に行くって言うから時間があるよ』とメッセージを送ってきて、その日の夜にまたホテルに行きました。彼と寝たのは、この2回です」

彼との関係は1ヶ月で終わったAさん。

自身も「彼のおかげで会社での嫌なことを忘れることができて、幸せでした」と不倫を楽しんでいたはずなのに、あっという間に終わったのは、彼が身を置く現実の異常さにありました。

「ある夜に『嫁がもう寝たから』って彼が電話で話そうと言ってきて、夜中まで話したことがありました。そのとき、LINEの私の名前を、『まったく別の男性の名前に変えている』って彼が言ったのですね。

びっくりして理由を尋ねたら、奥さんが彼のスマホにロックをかけるのを嫌がって、なかを見られるようにしているのだそうです。

彼が一緒のときにしか見ないって約束しているそうで、LINEについては『相手のプライバシーがあるからトーク画面までは開かない』と決めているって言うのですが、ぞっとしましたね……」

AさんはLINEのプロフィール画像を好きな俳優の写真にしており、だから男性の名前でも違和感はなく、「これが自撮りとか女性とわかるものだったら、変えてってお願いしていた」と言われたとき、はっきりと「普通じゃない」と思ったそう。

「『寝るときにこっそり見られても怖いから、面倒だけどいちいちパスワードを設定している』って、普通の調子で言うのですよ、彼が。そこまでしないといけない結婚生活って、異常じゃないですか?

当たり前のように奥さんに従っている彼にもすごく違和感があって」

そんな女性なら、一緒のときにどれだけなかを見ても彼に隠れてスマートフォンをチェックするに違いなく、ホテルに行ったことや行為の内容まで書かれているトーク画面をもし知られたら、間違いなく慰謝料を請求してくるとAさんは考えます。

「それを彼に言おうと思ったのですが、『言ったところでこの人にできることはないだろう』とすぐに思い直しました。夫のスマホをチェックするって、信用がない証拠じゃないですか。

結婚してもまだそんなことをする奥さんが怖いと思ったし、言いなりになっている彼にももう、愛情なんて感じなかったですね」