自分を知れば境界線を引ける
好きな人でも、身近な家族や友人でも、心の距離が近い人には甘えが出て「こう受け止めてほしい」という願いが強くなります。
相手からそんな寄りかかり方をされることもあり、関係のバランスが崩れると居心地のよさは生まれません。
人間関係のストレスは、相手と対等でない自分を実感したときに強くなります。
そんなときも、まずは自分の感じ方を知り「何がうれしいか」「何がイヤなのか」を把握しましょう。
「自分はこう思うから、こうしてほしい」と伝えていく姿勢が、相手との間に境界線を引きます。
線を引くという言い方は冷たく感じるかもしれませんが、違う人間同士なら何もかもがぴったりと寄り添うなんてことは不可能で、すべてが同じではなく「違っていて当然」を受け入れる在り方です。
線を引くことで相手を拒絶するのではなく、「私はこう思うけれど、あなたはどう?」と確認する言葉が尊重になります。
お互いの違いを知り、そこを埋めるために歩み寄る余地を作るのが境界線。
健全な境界線には「同じでなければ正解ではない」のような窮屈さがなく、「それぞれの正解を理解しあう」余裕があります。
隙間があるから向き合ったときに相手の目の色を知れるのであって、癒着のように心が貼り付いた状態では、それぞれの姿をまともに掴むことはできないですよね。
自分の感じ方があるのと等しく、相手には相手の思いがある。それを受け入れる器があれば、すれ違いや衝突が起こったときも「まずは相手を理解する」気持ちを忘れません。
自分を知ると同時に「どう思う?」と相手の気持ちも知る姿勢が、愛情と信頼を大きくしていきます。
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人との衝突が絶えない、身近な人ほど問題を起こしてしまうという人を見ていると、自分の感じ方を正しく伝えることができていない、と思う瞬間が多々あります。
そもそも「自分はどう在りたいのか」を掴んでいないため、相手とスムーズな気持ちのやり取りが叶わないのですね。
ストレスを減らすのは、相手の在り方ではなく自分の伝え方を考えるのが最初。
「自分はどう感じるか」を客観的に見ていくことで、本心を届ける言葉が生まれます。