『コインロッカー・ベイビーズ』や『コンクリートガール』『傷だらけのマリア』など、”THE・アーバンギャルド”的なアップテンポな曲で構成された前半を経て、しっとりとした『平成死亡遊戯』、『キスについて』が披露される。
おおくぼが静かにピアノを奏でる中、CDという鏡の中にいる少女にまつわる物語を朗読し始める松永。
「アーバンギャルドはフィクションです。10年かけてつき続けた嘘、フィクションです……」
そして浜崎がアーバンギャルドのトレードマークともいえる真っ赤な水玉のワンピースを纏って再びステージに現れると、発売されたばかりのアルバム『少女フィクション』のリードトラック『あたしフィクション』へ。
松永が「ロキノン系ならぬ、ロキソニン系バンド、アーバンギャルドです!」と自己紹介し、「”ところで、ところで、ところで……”」と前フリをするとざわつく観客。続いて「こんな前フリも久しぶりですね! ”セックスはお好きですか!”」「大好きです!」というお約束のコール&レスポンスを繰り広げる。観客はもちろんのこと後ろのゲスト席にまで呼びかけていく。
「ふざけるな!」とメガネを吹き飛ばしながら「処女捨てたもうことなかれ!」と絶叫する松永。そして『ベビーブーム』へ。曲間ではスペシャルゲストとして、元メンバーの藤井亮次扮する前衛都市夫が登場、観客からは大きな歓声が沸き起こる。
続いては恒例の”ボックスジャンプ”で『箱男に訊け』がスタート。この日の”箱男”は松永扮する一体だけでなく小さな”箱男”がぞろぞろとステージに現れた。「今日は箱男軍団がやってきた! こいつらに負けないように全力で飛びやがれ!」と瀬々が観客を煽る。『あくまで悪魔』になると、”箱男軍団”が箱を脱ぎ捨てるとセーラー服の女の子に! 「アイドルは誰だ! 俺だ!」と今度はおおくぼ(※ミスiD2017 ファイナリスト)が絶叫し、『病めるアイドル』へ。
MCではアーバンギャルドに加入するきっかけがmixiで、加入時の浜崎のmixi日記が「結婚します」というタイトルだったことや、上京するときに浜崎が母親に「アーバンギャルドと結婚するんだね」と言われたことなど、10年前の思い出エピソードを語る浜崎と松永。
ホールライブということで、「ダンスや舞台装置ありのやりたいことが出来た、もう今日が初ライブだと思って欲しい」と言い出す松永。
新作アルバムの話にも触れ、「10年前は何をしていましたか? ……そうだね、毎日死にたかったんだね? 10年後の今日は? 今日も死にたいんだね、10年間ともに生きられてよかったね!」という松永の言葉に拍手が起きる。
そして終盤は『さよならサブカルチャー』、『大破壊交響楽』と畳み掛け、浜崎の「10年間ありがとう、色々あったけど、今夜は……『少女にしやがれ』」という言葉。病的にポップで痛いほどガーリーで、そして少し切ない歌と音が、現在進行系の少女、かつて少女だった人、ここにいる全員を包み込むように響き渡っていった。