明らかに情報量が多すぎる!
出演者がなにを言っているのか、ほとんど聴き取れない。というか自分ひとりの目と耳では、とてもパフォーマンスの全容を把握することは無理だった。情報量が明らかに多すぎるのだ。見ている時の気持ちは、こんな感じである。
(うわっ水、冷たっ! うわなんか匂う…スプレーかよ! うわっこっち来た! うわいきなりディープキスしてるし! うわあなんかデブな人がすげー踊ってる! うわっ豆腐…! うわっワカメ…!)
(うわ~席にたまった水がビチャビチャ冷たい…えっなにサイリウム持たされるの!? 「盛り上がったら振ってください☆」ってそんな笑顔で言われても…! うわヲタ芸すげえ! と、とりあえずサイリウム振るかあ!? えっステージに上げられるの!? ええっ!!? これで終わり!!??)
実はすべて計算されたカオスだった
こう書くとどれだけカオスな舞台なのだと思うかもしれないが、出演者は各自好き勝手に暴れまわっているわけではない。水や豆腐をぶっかけるタイミングも、ハグする観客の席の位置も、ステージの隅で絶叫する出演者の立ち位置も、すべて主宰・二階堂瞳子の演出によって統制されているのだそうだ。
確かに1時間弱という短い時間とはいえ、これだけ混沌とした内容ながら中だるみすることがないのは、細部まで緻密に構成されているからこそだろう。つまりすべて計算のうちに、意図的に、観客が処理しきれない情報を放出しているのだ。
前身劇団「バナナ学園純情乙女組」が諸事情により解散。心機一転の再出発となる暴走ちゃんだが、昔からのファンによるとやっていることは基本的に変わっていないとのこと。賛否両論を呼んでいる理由は、その過激な作風に加え、アイドルやアニメを象徴的なアイコンとして用いていることも大きいだろう。全員で一糸乱れぬヲタ芸を繰り出す場面は舞台のハイライトだ。