「わけがわからない!」と久々に心の底から混乱した

写真:Cyclone_A  拡大画像表示

近年エンタテインメントに関して「わかることの快感」が重要視されているように感じる。それは「どれだけわかりやすいか」「どれだけ共感できるか」と言い換えてもいいだろう。

自分がなにに興奮するかを自覚しているから、自分を興奮させてくれるものだけを選んで消費する。限られた時間と経済力の中でエンタメをチョイスする姿勢として、それは決して批判されることではないと思う。

ただ一方で、それって自分の感覚というものをあまりに過小評価している気もする。自分の感覚って本当にそこまでイージーに興奮してしまうものなのだろうか。そもそもエンタメってそんなに物分かりよく消費できるものなのだろうか。

初音ミク、モー娘。、ハルヒ、全共闘、戦メリ、絶叫、熱唱、飛び散る液体、燃え上がる炎、汗と唾液とワカメと豆腐が入り混じったむせるような匂い。革命アイドル暴走ちゃんの五感を揺さぶるパフォーマンスを通じて、「全てをわかった気になってるって、超つまんなくない?」と言われたような気がした。そして彼女たちのパフォーマンスを見て、「わけがわからない!」と久々に心の底から混乱したことが、なんだか嬉しかった。
 

暴走ちゃんの「踏み絵」的パフォーマンス、あなたはどう見る?

かつてサブカルチャー/カウンターとして登場し、今やすっかりメインカルチャーへと変貌したアイドルやアニメのフォーマットを独自の視点で再構成し、そこへ水やワカメや豆腐を投げ入れてさらにぶっ壊す――そこまで含めてすべてをコントロールし、パッケージする"革命アイドル暴走ちゃん"。

何重にも入り組んだ構造をどこまで深読みするか、あるいはただ液体まみれになりながらその場の多幸感に浸るか。どの視点で見るかによって賛否がきっぱり分かれる暴走ちゃんのパフォーマンスはある意味、見る者にとって「踏み絵」的存在であると思う。

3月29日(土)には急きょ追加イベントを開催、9月には東京での本公演を控えている。自分はあの「わけのわからなさ」を確かめに、もう一度見に行こうと思っている。
 



革命アイドル暴走ちゃん『「騒音と闇」追加イベント』決定![https://j.mp/1gkimRo]
3月29日(土)18:00~ 会場未定

革命アイドル暴走ちゃん『騒音と闇 凱旋ver.(仮)』
構成・演出・音楽:二階堂瞳子
9月20日(土)~30日(日)
こまばアゴラ劇場