授乳プロジェクトの本当の意味
しかしヘクターさんは、そんな男性達に「授乳に対する考えを変えろ!」という意味でこのプロジェクトを立ち上げた訳ではない。
「父親の声を世間に広めたいんです。そして“自分ができる限りのサポートができる父親になりたいか? ベストな父親になれるか? 妻と子供のためにできる限りのサポートができるか?”などの質問を、写真と撮られる父親たちに自問自答して欲しいんです。」とヘクターさんは語る。
彼からの意見を否定する事なく、授乳を疑似体験する事で考えを変化させようというのがヘクターさんの目的だ。これはまさに授乳に対しての教育である。
良い父親とは?
従来、授乳は母と子の繫がりを強めるものであった。しかし、そんなパパ達を写真に収めることで、それがさらに良い父親へのステップアップに繫がるヘクターさんは考える。
授乳プロジェクトを通し、多くのパパ達が授乳に対しての考えが変わったと語っている。それは彼らがシャツを脱ぎ、我が子の肌と自分の肌がふれあうことで、授乳を自らの行為として考えられるようになったからではないだろうか。
そして、我が子との肌を通してのスキンシップがより強い父子関係を作り、それが彼らの子育てへの理解の向上につながっているのだと思う。
良い父親とは何であるかはとても難しいが、ヘクターさんは「妻の体を理解することが、わたしを良い父親にしてくれる」と話している。
妻の体を知るということは、母親である彼女を理解することである。そして、そう理解しようとする姿勢がママ達を応援するのだ。良い父親とはきっと、ママ達に関心を持ち、子育てを理解しようと努力する男性のことなのだろう。
授乳プロジェクトでは多くのパパ達をフューチャーし「え? こんな人まで?」といった写真も多く見られるのも面白い。しかし彼らの穏やかな表情は、彼からの中で何かが変わったのではないかと思わせる。
現在、ヘクターさんは今後の活動のため、コチラ[https://www.gofundme.com/ProjectBreastFeeding]のページでプロジェクトへの寄付を募っている。将来的にはパパ達のための授乳のクラスなどを中心に男性への教育活動も行って行きたいそうだ。
そして、このプロジェクトはアメリカだけに留まらず、ウガンダなどの海外へも広がっていく予定なのだそうだ。訪れた国で、男性達に授乳の重要性を広めて行くという。
今この授乳プロジェクトと通して、男性の授乳に対する考え方のみならず、子育てへの革命が起こっている。