PAの枠を越えた! 噂の“食”がすごい
本格的に食事をする予定の方は、事前にお店のウンチクを知っておくことをオススメします。なぜなら、そのほうが食事をより美味しく楽しめること間違いなしだからです。
(これまた情報は公式HPなどに詳しく載っています)
フードコートには、鬼平の物語に登場する料理屋の看板を掲げたお店が5つ。「お。ここが『五鉄』か」などと、ファンの方なら思わずフフッと微笑みたくなるはずの演出です。
メニューも、登場人物たちの好物料理や、贔屓の店の味をモデルにしたものがたくさん用意されています。
鬼平はわからなくとも、食通としても有名な池波さんが愛した人形町の老舗「玉ひで」や、「日本橋たいめいけん」などの名店が料理を提供・監修している、といえば、一食の価値を感じるはずです。しかも、フードコートなのでお値段も比較的お手ごろ。
軍鶏鍋やうな重、といった大人好みの一品から、気軽に食べられる中華そばや日本そばまで、一家全員のお腹を必ずや満たしてくれることでしょう。
江戸の文化をゆるりと学ぼう
ここで再び、iPadが設置された「かわら版コーナー」へ。
18世紀終わり頃から19世紀前半―「鬼平犯科帳」の主人公、“鬼平”こと長谷川平蔵さん(実在の人物)が生きたとされる時代――。
それは、町人文化が栄え、江戸っ子たちが最も生き生きと庶民生活を営んでいた時代だとか。
「かわら版コーナー」にあるiPadでは、さまざまな浮世絵画像に解説を加えた「江戸びと暮らし百景」を通して、江戸の社会、住まいや暮らし、フトコロ事情やファッション、食などなど、多方面から当時の人々のリアルな姿を偲ぶことができます。
たとえば…
◇住まいと環境
一般的な住居は4畳半+土間の長屋。火事が起こることを前提に、安く作れて壊しやすい(注:破壊消火しやすい)家に住む。4~5人で暮らすため、持ち物は最低限に抑え、シンプル&合理的な暮らしを営む。トイレや洗濯場は共同。お風呂は銭湯へ。水道や井戸がきちんと整備され、糞尿はすべて肥料に使うため回収されていたので、意外と清潔。
◇生活
午前4時頃、街に太鼓の音がどどんと響く。職人は午前6時頃、日の出とともに起床し、湯屋(銭湯)へ行って朝風呂を浴びる。午前8時頃には仕事を始め、午後6時頃終了。その後ふたたび湯屋へ行って汗を流し、夜8時頃には寝床につく。
買い物は、食材や生活用品や薬にいたるまで、普段の暮らしに必要なほとんどのものは町中を売り歩く行商人から購入可能。独身者のために食事一式を届けてくれる“賄い屋”なんてものも。モノを修理して大切に使う文化が根づいており、すでにリサイクルショップ的な店や、ふとんや着物・装身具などをレンタルする業者もあった。
そのほか、江戸人もペット好きだったとか、庶民は女子といえど7歳から寺子屋に通い、識字率は世界一だったとか、女性は昔も美容への関心が高かったとか、親の扶養と介護の問題はその当時からすでにあったとか…。江戸人をとても身近に感じるような話題がぞろぞろ。
防災への備えはされていましたが、火を食い止めるには限界があったようです。
また、興味深かったのが「火消し」の解説。
火事が起こると、飛び火を防ぐために、風下にある家々をとりあえず破壊(だから安く壊しやすい家を作っていたわけですね)。いかに早く壊すかがポイントで、とび職が大活躍。一番乗りして火を消したい火消し同士の喧嘩もたびたび起こり、その威勢のよさは江戸の見ものだったそうな(喧嘩してる場合でもないような)。
“火消しに躍起になる”という日本語には、じつに奥深い意味があったのだな、とも思いました。
防災への備えはされていましたが、火を食い止めるには限界があったようです。
そんな、いろんな江戸まめ知識を入手し、子供に語って聞かせれば、「へえー!」とか「ふうーん!」とか、きっとそれなりの反応が得られるはず。
そう。ここは学びの場。過去に生きた人々との接点を感じ、歴史への興味をはぐくむ場にもなるのです。
人情味にあふれた江戸の文化には、人々を元気づける不思議なパワーがあるように思います。たまの休日、お出かけついでに「鬼平江戸処」に立ち寄り、抹茶アイスを食べながら、みそエクレアを食べながら、人形焼きを食べながら、くず餅を食べながら(食べてばっかりですね)…、親子で“江戸”についておおいに語り合い、古き良き日本の豊かさを夢見てみてはいかがでしょうか?