依存症の研究書:炭水化物とコカインには同じ作用がある

米やパンや麺類だけでなく、「わかってはいるけど、甘い物がやめられないんだよね」という人もいます。私も少し前までそうでした。

米・パン・麺類に含まれる糖質も、デザートに含まれる砂糖も、体内に入ってしまえば同じです。血糖値が上昇し、インスリンが分泌されて、肥満の主原因になります。

これはいったい何なんだろう?と思っていたところ、依存症の研究書にびっくりするような記述を確認しました。


マスコミは、チョコレートや炭水化物や脂質は、気分を高揚させ、渇望をひき起こす過食対象物であると報道する。炭水化物は新型コカインとさえ呼ばれるようになった。なぜなら、炭水化物とコカインは、脳の同じ部位に刺激を与える効果があるからである。(中略)科学的な議論とは別に、私たちは日頃の経験を通じて炭水化物とコカインの共通点に気がついているはずだ。炭水化物でも、特に小麦から作られたパンやパスタの類は、ときとして依存の対象になると言われている。起床時の渇望によって食べずにはいられない現象、あるいは摂食中止時の激しい感情起伏や易怒性といった離脱症状がそのサインである。

『溺れる脳 人はなぜ依存症になるのか』M・クーハー著 船田正彦監訳 東京化学同人 第10章 P.155

 

ええっ!? 炭水化物とコカインは、脳の同じ部位に刺激を与える? 炭水化物は新型コカイン?

本書をよく読むと、炭水化物への依存性は、『科学的に厳密な意味での依存症としては認められていない』そうです。ただ、渇望感や離脱症状を見る限りは薬物依存との深い共通点がみられるし、また脳内でコカイン同様にドーパミンの放出量が増える現象も同じであるようです。

 

依存症だと仮定すると、いろいろ説明できる

世の中には、米・パン・麺類などの主食や、甘い物など、炭水化物が大好きで、「どうしてもやめられない」という人がたくさんいます。

もしこれがアルコール依存、ニコチン依存、カフェイン依存などと同じように、炭水化物依存症だと仮定すると、色々とおもしろいことがわかります。

たとえば、糖質制限は、米を食べてはいけないわけではありません。「糖質の過剰摂取を止めれば、自然に適正体重に落ち着きますよ」という方法論なので、たとえば茶碗2杯食べるところを、茶碗半分にして、代わりにおかずを食べるというやり方でも問題ないわけです。

でも、糖質制限に拒否反応を示す人は、まるで「ちょっとでも米を食べる量を制限されるのは許せない」といったふうです。

糖質制限の仕組みを知ろうとする前に「米を食べない生活なんて考えられない!」などと極論を持ち出して、炭水化物を食べることを必死に正当化しているように、見えないこともありません。

このような炭水化物への反応は、大酒飲みや、ヘビースモーカーに、お酒や煙草を控えるように言っても聞く耳を持たないのと、似ていると言えば似ています。