名家、旧家と言っても、名家は“社会的に貢献をした人物”を輩出している家。名声を得ており、視点は常に外に向かっています。

一方、旧家は土地に密着しており、代々長く続く家。自分の家や血筋を守ることが目的で、視点の方向は内側です。

この二つは似ているようで異なっていますが、「家を受け継いでいく」という考えは同じです。

一般家庭に育った人にとっては「名家? 旧家? そんな旧態依然な家なんてあるの?」という感じですが……。

妻は身を粉にして働き、家に尽くす。ただただ、家の名誉と存続だけが使命なのだそう。ヒエ~恐ろしや。

今回は、そんな“一般家庭からかけ離れた家”のエピソードをご紹介します。

「夫は、地域で一番の大地主の家の息子。結婚した32年前、義父はすでに隠居生活でした。だから何でもかんでも義父が出てきて、義母の影は薄かったです。結納も結婚式も義父が仕切るので、男尊女卑だとしても『そこまで首を突っ込むかな』と違和感がありました。

出産のときも義父が待合室で待っていて、男の子が生まれたと知ると『でかしたぞ!』と絶叫。跡継ぎを産んだことをほめられ、お祭り騒ぎ。とにかく男の地位が高い家でした。

ある日、夫が職場の若い女性と浮気。子どもが病気で入院した日に帰ってこなかったんです。なのに義父は『よくある話なので騒ぐな』『男だから仕方ない』とかばい、夫も反省なし。許せないし、義両親も意味不明なので離婚しました。

『跡継ぎを渡せ』と言われましたが断固拒否。夫は知らん顔で、義父だけ騒いでいましたね。『調停する』と言ったら世間体を気にしたのか引っ込みました。義母と腹を割って話すことは一回もありませんでしたが、慰謝料と養育費はキッチリもらいました。

その直後、浮気相手と再婚し、男の子を授かったそうなので、義父はまた『でかした』と叫んだと思いますよ」(57歳・女性・関東)

名家や旧家は、男性は“跡継ぎや土地のあるじ”なので、地位がとても高いです。産まれた子が「男の子か女の子によってかなり差がある」話もよく聞きます。

義母の影が薄かったのは「地位が低かったから」なのでしょうね…。それにしても、すんなり離婚できたのは奇跡に近いかも。名家や旧家だと、子どもの親権うんぬんでスムーズに即離婚とはならないからです。

「一度の浮気で離婚することはない」と周囲に言われたそうですが、この女性は義父のこともあり、「あのとき離婚してよかった」と今でも思うそうです。

たえなかすず:歌人。短歌を詠むことが好き。ブラブラとOL時代を送ったあと結婚し、二人の娘の母になった恋愛コラムニスト。他恋愛サイトでも連載中。昭和マニアなのでいつも昔に思いをはせています。恋愛の話と面白いネタに食いつきます。趣味は映画観賞とマラソン。