クラス担任の教諭にも話を伺う。ナシルさんのサポートや児童に英語で接していたので、さぞかし英語が堪能なのかと思ったが、実際は「英語科の免許もないし、実は英語が苦手」なのだという。
ただ、IUIは英語だけでなく、日本語と母国文化に精通した人材が選ばれているため、授業の打ち合わせや普段のコミュニケーションに支障はないそう。
その上で「子どもたちは異文化に触れることができるし、自分も同じ目線で英語を楽しめる。負担と感じることはない」と話している。
授業後、ナシルさんに話を聞いた。
2003(平成15)年に来日したナシルさんは当初、まったく日本語が話せなかった。それでも近所の方とコミュニケーションを図ろうと「オハヨウゴザイマス」と、つたないながらも日本語で話しかけたところ「ノー、イングリッシュ・・・」と避けられたのだという。
「日本人は『変な英語を話してしまうかも』と思って自信がないのかもしれない。誰とでもコミュニケーションは取れた方がいいし、そのためには小さいころから英語に慣れ親しんでもらえればいいのでは」と考え、息子の友達に自宅で英語を教えていたのだという。
授業の時に心がけていることは「Happy&Fun、それと絶対にスマイル」だという。
IUIの仕事については「いつも新しいことの発見。子どもたちに教えることで、日本の良さも、自分の国の良さも再発見できる。できる限り続けていきたい」と最後まで笑顔だった。
YICAについて平担当課長は「中学校の教諭からは『入学したての生徒の英語の基礎力が高まっていると思う』という声も聴いている。数字のように目に見えて現れないが、一定の効果や手応えは感じている」とみている。
さらに鈴木主任指導主事は「英語『に』親しむのがYICAの目的でなく、英語『で』多くの人と親しんでもらうのが最終的な目的」と話していた。
取材を終えて
実際に授業風景を見て思ったことは、子どもたちが楽しみながら英語を通じて異文化を吸収しようとしているところ。分からない単語が出てきても、文脈から必死に類推しようとしたり、自分で学ぼうとする姿勢が印象的だった。
担当者の言葉にあった通り、英語はそれ自体を学ぶことが目的なのでなく、英語を使って多くの知識や文化を取り入れるための手段のひとつなのだと思う。
友達同士で学校外で遊ぶ時間も必要だが、それ以上に得難い学習の時間ではなかろうかと感じた。
将来、YICAを経た児童・生徒らが横浜から世界へ旅立っていくことを願ってやまない。
※本記事は2014年3月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。
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