「夫とは仕事や家事のことで昔から衝突が絶えず、いつしか仮面夫婦状態になっていました。

私に仕事を抑えて『家のことをしろ』と迫る夫は、私が自分より年収が高いことにずっと劣等感を持っていたのだと思います。

夫婦としての愛情はないけれど、子どもたちについてはしっかりと考えてくれるので、本当にそれだけが理由で結婚生活を続けていました。

次男が希望通り県外の専門学校へ進学することが決まり、私のなかでは『この子が数年後に就職したら、離婚を考えよう』くらいの気持ちで過ごしていましたね。

夫婦ふたりとなった戸建ての家は苦痛で、子どもたちがいない状況で夫のためだけに何かをする気にはなれず、食事は作らないし部屋の掃除もしませんでした。

洗濯は分けるのが面倒なので一緒に洗っていましたが、畳んだものはリビングに放置して、私は娘の子ども部屋を自室にして引きこもっていましたね。

あるとき、会社から帰ると夫に声をかけられ、『離婚しよう』と言われました。

『この家にいるとストレスで胃が痛い』と続けられ、『ひどいことを言うのね』と返しながらもショックでしたね。『夫のほうが先にギブアップした』と思うと『捨てられる側』になる自分を実感して苦しかったです。

かといって離婚したくないとは決して言えず、『離婚するのは構わないけど、あの子の就職が決まるまで待って』と提案すると夫は承諾し、これまでと変わらず学費はお互いの収入から折半して出すこと、この家ではそれぞれ好きに過ごすこと、洗濯も分けることなど、淡々と決めました。

子どもたちの帰省を考えて別居はしないとなりましたが、『無断で外泊しても文句を言わないこと』と夫が口にしたとき、そういうことももうしていいのだ、と思うと何だか肩の荷が下りたような気持ちでした。

ショックの後に感じたのが自由なことへの安心だなんて、本当に夫婦として終わっていたのだと思います。

子どもたちには離婚についていずれ話す必要があり、どう納得してもらうか、それだけを今はひとりの部屋で考えています」(49歳/営業)

結婚生活に安寧を覚えていれば、夫からの突然の「離婚宣言」は大きなショックとなり混乱しますが、熟年離婚ではそうではないケースが妻側に多々見られます。

「ギブアップした」という言葉が出るように、お互いとっくに夫婦としての絆を失っていれば、ショックは受けても次に実感するのは希望です。

切り出された側となっても、夫と同じく自由を求めていたとわかれば、夫婦という重たい荷物を下ろす決意が生まれるのですね。

プロフィール:37歳で出産、1児の母。 これまで多くの女性の悩みを聞いてきた実績を活かし、 復縁や不倫など、恋愛系コラムライターとして活躍中。「幸せは自分で決める」がモットーです。ブログ:Parallel Line