名家、旧家と言っても、名家は“社会的に貢献をした人物”を輩出している家。名声を得ており、視点は常に外に向かっています。
一方、旧家は土地に密着しており、代々長く続く家。自分の家や血筋を守ることが目的で、視点の方向は内側です。
この二つは似ているようで異なっていますが、「家を受け継いでいく」という考えは同じです。
一般家庭に育った人にとっては「名家? 旧家? そんな旧態依然な家なんてあるの?」という感じですが……。
妻は身を粉にして働き、家に尽くす。ただただ、家の名誉と存続だけが使命なのだそう。ヒエ~恐ろしや。
今回は、そんな“一般家庭からかけ離れた家”のエピソードをご紹介します。
「夫を地元の令嬢と結婚させたかった義理の祖母。よそ者の私が相当嫌いらしく、結婚式では『あー来るんじゃなかったよ』と大声で言っていたし、結婚後しばらくは私のことを下の名前で呼ばず、旧姓で呼び捨てにしていました。
関わらないようにしていましたが、子どもが生まれたので義実家に見せに行くと『夫に似ている、あんたには似ていない』とブツブツ。それはまだましな方で、なかなか歩き出さない子どもを見て『やっぱり足がおかしいもんな』と言うので絶句。祖母が財産も家の権限も握っているから、誰も注意できなかったんです。
とんでもない家に来てしまった、と思いました。イヤなことを言われたときは夫に注意してもらいましたが、聞こえないふりをしていましたね。義両親はそんな祖母を見て『口が悪いんだよ』とフォローしていましたが、『性格が悪いのでは』と心の中で反論しました。
その数年後に他界しましたが、涙も出なかったし何も感じませんでしたね。今もときどき思い出します」(50歳・女性・関東)
義両親は普通だけれど、義理の祖母が曲者だったケース。年配者が偉いのが旧家ですから、それは仕方ないのかも……。
「愛する孫が地元のお嬢さんと結婚しなかったのは、この嫁のせい。だから憎い。嫁が育てている孫も憎い」と考えているのでしょうね。