名家、旧家と言っても、名家は“社会的に貢献をした人物”を輩出している家。名声を得ており、視点は常に外に向かっています。
一方、旧家は土地に密着しており、代々長く続く家。自分の家や血筋を守ることが目的で、視点の方向は内側です。
この二つは似ているようで異なっていますが、「家を受け継いでいく」という考えは同じです。
一般家庭に育った人にとっては「名家? 旧家? そんな旧態依然な家なんてあるの?」という感じですが……。
妻は身を粉にして働き、家に尽くす。ただただ、家の名誉と存続だけが使命なのだそう。ヒエ~恐ろしや。
今回は、そんな“一般家庭からかけ離れた家”のエピソードをご紹介します。
「義母いわく『嫁は苦労するもの』だそう。結婚して10年経ちましたが、子どもの名づけから始まって、幼稚園やおけいこごと選びは義母の一存で決まります。義父の影は薄く夫も立場が弱く、とにかく義母が一番偉く、いっさい逆らえません。
妊娠したときすぐに義母に報告すると、『流れるかもしれないからね』とひとこと。『おめでとう』もないまま、箝口令が敷かれました。
同居の嫁の妊娠よりも、近所に住んでいる娘のことばかり心配していました。今も、娘の子どものピアノの送迎や、世話に忙しそうです。本当に心の底からイヤ。でも、実家の両親には心配を掛けるので言えないですね」(38歳・女性・北陸)
義両親のことが苦手なのは、違う環境で生きてきたから。義母も他の家から嫁いできたのだから、嫁の気持ちはわかるはず。でも数十年も経ってしまうと、環境になじんでしまうのですね。中には、息子を取られた気がして嫁を憎く思うようになり、その反動で娘をよりかわいがる、というループに陥っている場合も。
さらに、「この家を守ってきた私は偉い、息子を産んで育てた私は偉い、あなたとの結婚を許した私は偉い、そして実の娘は一番かわいい」なのかもしれません。
「はっきり言わないから私が一切合切決めている」と考えているかもしれないので、イヤなことはイヤ、受け入れられないことは受け入れられないと意思表示するのは必要だと思います。