土曜ドラマ『怪物くん』の原作者としても最近注目された“藤子不二雄A”こと安孫子素雄さんは現在80歳。キャリアは63年に達する。安孫子さんは今年の「手塚治虫文化賞」で特別賞に選ばれ、先月催された授賞式では高齢と思えないほど鋭いトークを連発。会場内の報道陣やファンを沸かせた。
ちなみにこの時、対談相手となったのは『デビルマン』『マジンガーZ』などで有名な永井豪さん。こちらも68歳、キャリア47年という堂々たる超ベテランで、“壇上の2人を合わせたら漫画家歴110年”というとんでもない組み合わせだった。
終戦からまだ70年も経過していない現在、50~60年クラスの現役作家があちこちで活動を続けているという事実は、日本が“漫画大国”だと思い知らせてくれる。
ベテラン漫画家 2つのタイプ
キャリアの長い漫画家を語るのに欠かせないのが、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』と『ゴルゴ13』。この両作品には“コミックスの巻数で世界のトップを走り続ける”という共通点があるが、一方で作者に関しては大きな違いがある。
『こち亀』作者の秋本治さんは“デビュー作をそのまま継続連載している”のに対し、さいとう・たかをさんは『ゴルゴ13』スタート時、すでにキャリア20年を超えるベテランだったのだ。そのため漫画家歴は秋本さんが38年(61歳)、さいとうさんが59年(77歳)と予想以上に差が開いている。
秋本さんのように“デビュー作がそのまま現在まで長期連載”の場合は、ほぼ作品の継続年数が作者のキャリアと等しくなる。秋本さんタイプの有名作家としては『ONE PIECE』の尾田栄一郎さん(17年)、『NARUTO -ナルト-』の岸本斉史さん(18年)、『ベルセルク』の三浦建太郎さん(25年)などが挙げられる。休載中の作家も含めれば『コータローまかりとおる!』シリーズの蛭田達也さん(32年)、『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の萩原一至さん(26年)なども加わる。
なお岸本さんはデビューから初連載『NARUTO』まで3年間のタイムラグがあり、『NARUTO』単体では連載15年になる。
秋本さんタイプは全体としては少数派だが、“長期連載のデビュー作をいったん終了させて別作品を描いた後、現在またデビュー作の続編を描いている”漫画家も含めれば大御所の名前が出てくる。『キン肉マン』のゆでたまごさん(36年)、『キャプテン翼』の高橋陽一さん(34年)などがこの条件に該当する。