世間の人が車に求める水準が飛躍的に高まっている。いままで車に求めていた、単なるコストパフォーマンスの高い移動手段としての車から、より高級感のある車、そして快適に安全に目的地にたどり着くことも高水準が当然のごとく求められ、車選びの重要な要素となっている。
そのような車を作るために日本の車メーカーは試行錯誤していたが、どうしてもヨーロッパ車の高い性能と質感の両立において、日本車が劣っていたことは否めない事実である。
SUBARUという老舗メーカーもそのひとつだった。長い間SUBARU車は、性能は際立って高いが、なんとなくマニア向けの車メーカーというイメージが強かったことは否めない。それが変化するきっかけを与えたのが、日本人のステーションワゴンに対するイメージを一新したレガシィの発売(1989年)である。
レガシィの大ヒットが、武骨一辺倒のSUBARUというイメージを大きく変え、その後25年経過した現在では、北米市場での躍進や日本国内でもレガシィの後継車となるレヴォーグや、XV ハイブリッド、フォレスター等の主力車種すべてが、好調な販売実績をあげている。
インプレッサはなぜここまで支持されたのか?
この好調の要因は、SUBARUが元々国内No.1と自負していた技術力と、ヨーロッパ車に勝るとも劣らない質感とが融合した結果に他ならない。SUBARUは変わったと人々は言う。「作られた」車から、本当に求めていた「造られた」車を買うことに志向が進化した日本人のための、SUBARU車を造る。その中で、決して忘れてはならないのが、インプレッサである。
現在4代目となるインプレッサ。レガシィの3年後に発売された初代インプレッサは、いかにもSUBARU好きにウケる、性能を極限まで高めたスポーツカーであった。それから、熟成すること22年。インプレッサは、日本市場の普通自動車部門で最も激戦区である、1.6~2.0Lワゴンタイプ(ガソリン車)で2013年度販売台数クラスNo.1(2013年4月~2014年3月 日本自動車販売協会連合会調べ)を達成した。これは、性能と質感の造り込みに造り込みを重ねた成果である。
車離れが進んでいる日本市場で大ヒットとなった要因はなんなのか。実際に4代目インプレッサスポーツのオーナーである内山さんへのインタビューを交えて紹介したい。