人は年齢を重ねるとより幸せを感じるようになる?

脳が知らず知らず識別をしているのは、恋愛感情だけに留まりません。というのも人が幸せを感じるのも、どうやら脳が大きく関係しているようなのです。たとえばアメリカの調査で、人は年齢を重ねるほどより幸せを感じるようになるという結果が発表されています。

調査方法はアメリカの国民35万人にインタビューを行い、彼らの幸福感が“年齢とともにどう変化するか”を評価したもの。すると人の幸せは年齢に準じてU字曲線を描くことがわかったといいます。すなわち20歳以前まで高かった幸福感は20代で急激に落ち込み、40~50代前半までが最も低い結果に。

これを過ぎるとようやく回復傾向にあるようで、調査最高齢の85歳までは徐々に上昇していったそうです。それこそ働き盛りであれば時間に追われて、仕事のストレスで精神的にも体力的にも参ってしまいがちです。同調査はアメリカで行われたものですが、これらの結果に身に覚えのある男女も多いのでは?
 

偶然とは言い難い!? 統計データと重なる脳の反応って?

さらにこれは脳の活動においても、同じような傾向が見られました。調査を行ったのはコロラド大学のウッド博士。20歳前後の若者と55歳以上の年配者に対して、様々な映像を見たときの反応を脳波計で測定したそうです。

ちなみに用意された映像は以下の3種類。「美味しそうなチョコレートアイス」「美しい夕日」といったプラスの感情を引き起こす写真と、「椅子」「フォーク」といった中立的な写真。そして最後は、「路端で亡くなった猫」「衝突事故に遭った車」といったマイナスの感情を引き起こす写真です。

いずれの写真も脳になにかしらの反応はあったそうですが、年齢別では若者の方がマイナスの写真に強く反応する傾向が見られたとのこと。一方の年配者はどの写真も同じような反応をし、マイナスの写真にいたっても特に反応は変わらなかったようです。

この結果はいわば年の功と言えそうですね。またこれらの結果には続きがあり、恐怖や不安などマイナスの感情に関与するといわれている脳の扁桃体が、年輩者の場合はプラスの写真を見たときに強く反応したといいます。つまり年齢とともに不快な状況に動揺しなくなり、より幸せを感じられるのは脳の働きによるものが大きいと結論づけられそうですね。
 

脳が人の恋愛と幸福感に与えている影響とは

脳の影響から恋愛、幸福感について見てみましたが、いかがでしたか? 私たちが普段、人を好きになる感情も幸せと思う瞬間も、すべては「脳」が知らぬところで、そういう指令を出しているからかもしれません。それだけ「人の体は上手くできている」と言えそうですが、反面で「人は自分でも知らぬところで、自分の体が動かされている」とも言えそう。そう考えると若干恐くもありながら、人体の不思議と魅力についてあれこれ考えさせられますね。

【参考文献】
池谷裕二著『脳には妙なクセがある』(扶桑社・刊)

フリーランスライター。女性向けWeb媒体を中心に、恋愛、結婚、仕事、ライフスタイルに関する記事を執筆。自分の身と心で感じたことを企画立案し、記事にしながら読者に役立つ情報を発信している。自身の「note」に活動実績一覧を掲載中。介護福祉士、保育士資格保有。