それぞれ違った感想を持って当たり前

今回展示されている作品は、さまざまなショップやパンケーキなどのスイーツ、雑貨など西洋的なものが目立つ一方で、作り置きのおかず、コンビニのパン、そしてPCなど電子機器などの作品も。

そのほか、おせち料理や雛人形、端午の節句の鎧兜、お寿司など、古くから脈々と受け継がれる日本文化の軌跡を辿れるモチーフも少なくない。その確かな制作技術から海外のミニチュアファンからの評価も非常に高く、銀座という土地柄もあってか会場内には外国人観光客の姿も見られた。

田中氏の作品は複製ではあるが量産ではない。その精巧な作品たちは手作業だからこそ産み出せたし、多岐に渡る作品ジャンルを横断できたのもその技術力があってこそである。

これまで田中氏が主催するブランド「nunu’s house」から3冊の書籍が出版されているが、これらも自ら出版社へ企画を持ち込んだ結果なのだという。教室も主催するなど忙しい中で、あえて他者との関わりの多い企画を考えるのは「自分一人ではできないことをしたい」という想いがあるから。

芸術・文化の一大拠点地と言える銀座で個展を開くことへの意気込みも強く、初めて作品を見た人にもミニチュアアートを知ってもらう機会になればと考えているとのこと。

また、今回は特別にPOLAのショップカウンターもミニチュアで再現。写真だけ見ると本当のブースのようだが、12分の1サイズのミニチュアだ。担当者からたくさんの資料を受け取り完成させたという。まさに、一人では絶対にできない見事な仕掛けのひとつ。同じビルの一階にはカウンターの現物があるので要チェックである。

展示のタイトルの「Face to Face もっとそばに」という言葉には、作品を見た人それぞれ一人ひとりに視点・感じ方の違いがあるという意味も込められているのだとか。ぜひ実際に足を運んで、自分自身の目で『本当の』ミニチュアワールドを確かめていただきたい。

◆会期
2018年4月27(金)~5月27日(日)
※会期中無休 / 入場無料

◆開館時間
11:00~20:00 (入場は19:30まで)

◆会場
ポーラ ミュージアム アネックス(東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階)

取材/丹野加奈子(イベニア)

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