5:映画『ひまわりと子犬の7日間』
その犬は老夫婦のもとで大切に育てられ、すくすくと成長していきました。しかし、おばあさんが亡くなり、おじいさんも老人ホームに入所することに。去り行くおじいさんが乗る車を必死で追いかけた犬は、その後、野良犬になってしまいます。
やがてある保健所に、生まれて間もない子犬と母犬が送られてきます。そこでは、1匹でも殺処分を防ごうと里親探しに奔走する職員の神崎彰司(堺雅人)や、時折犬の健康状態を診察しに訪れる獣医師の五十嵐美久(中谷美紀)が働いていました。
実はその母犬は、かつて老夫婦に大切に育てられた犬でした。子犬を必死で守ろうと威嚇する姿に、野犬だから危ないというレッテルが貼られてしまいます。
殺処分までに残された時間は7日間。神崎は母犬に「ひまわり」と名付け、少しずつ心を開かせながら、里親を懸命に探していくのですが……。
現在、保護活動に取り組む個人や団体が増え、動物愛護への理解が広まりつつありますが、それでもなお殺処分される犬たちがいるのが現実です。そんな厳しい現場で働く職員の目線で描かれた今作は、動物保護について考えるきっかけになる作品です。
6:映画『星守る犬』
北海道の山中で、放置された車の中から、死後半年が経過した身元不明の男性の白骨死体と、犬の死骸が発見されます。市役所福祉課に勤める奥津京介(玉山鉄二)は、幼い頃に犬を飼っていたことがあり、この男性と犬の関係に興味を抱くようになります。
現場に残っていたレシートなど、わずかな手がかりを頼りに、その男性の足跡をたどる奥津。やがて、思わぬことから同郷の家出娘・有希(川島海荷)と行動をともにすることになり、男性と犬の深い思い出に触れていくのですが……。
家族と仕事を失い孤独に生きた男性“おとうさん”を、西田敏行さんが熱演。その心のよりどころとなった犬との強い絆に思わず胸がじーんとなります。一方で、おとうさんが亡くなり人のいる場所へと向かった犬が、追い払おうとする人に傷つけられる場面もあり、醜い人間にゾッとする場面も。弱き存在を大切にできる人でありたいと改めて考えさせられる作品です。
7:映画『ジューン&コピ』
路地で遊ぶ子どもたちにいじめられ、追われている野良犬を見つけたアヤ(アーチャ・セプトリアサ)は、とっさに犬をかばい、子どもたちから守ります。その場をすぐ離れようとするアヤでしたが、犬は彼女のあとをついてきます。
その様子を見て、アヤは犬を連れて帰ることにします。しかし、すでに「コピ」という名前の犬を飼っているため、連れてきた犬を見て夫は難色を示します。それでもアヤはその犬に「ジューン」と名付け、ペットショップで飼い主を探してもらおうと預けるのですが……。
家族と犬との絆を描いたインドネシア映画。とくに野良犬に対して悪い印象を持つのは、世界共通なのだと感じさせられる作品です。もちろん野良だったり、吠えたりするからといって凶暴な犬というわけではなく(なかには狂犬病ほかウイルスを持つ野良犬もいるので一概には言えませんが)、「野良だから」といった理由だけで凶暴と決めつけるのは間違いだと考えさせられます。
今作のように、温かい家族のもとで犬が幸せに暮らせる社会であってほしいと思わずにはいられません。