車中泊のおすすめ防寒アイテムは?

【日本全国を制覇したバンワーカーが教える至福のあれこれ・6】寒い季節がやってきた。キャンピングカーならFFヒーターやエアコンで寒さ対策ができるが、一般車両で車中泊をする場合は、それなりの準備が必要になる。今回は、実際に使用している防寒アイテムの中から、特におすすめのものを紹介しよう。

防寒におすすめのアイテムを紹介

まずは窓からの寒気対策を

寒さ対策の第一歩は、窓からの寒気を防ぐことだ。車内の温度が下がる最大の原因は窓からの冷気。そのため、窓全面にシェードを貼ることをおすすめしたい。シェードは、車種によって専用の製品が販売されている。冬の車中泊に出かける前に、ぜひ手に入れておいてほしい。我が家では、さらにカーテンも取り付けている。シェードとカーテンで外の冷気を二重に遮るため、ある程度は室温を保つことができる。

寝袋とブランケットがあればなんとかなる

車中泊時の寝具の定番といえば寝袋だが、実は防寒アイテムとしても活躍する。私が使っているモンベルのスリーピングバッグ「シームレス ダウンハガー800 #2」は、マイナス5度まで対応可能。この中に入れば、相当な寒さでも快適に過ごせる。昼間は下半身だけ寝袋に入れて作業をしたり、ファスナーを全開にして膝掛けとして使ったりと、使い方は自在だ。

寝袋は防寒アイテムとしても活躍

夜は、寝袋の中に無印良品の「洗えるUSBブランケット」を入れて、暖かく眠ることができる。これは消費電力が少ない上、USB給電なため、モバイルバッテリでも一晩中使える。ブランケットで温められる範囲は限られているため、それ単体だと電気毛布ほどは温まらないが、寝袋の中に入れておけば温かさが全体に広がる。つまり、湯たんぽのような使い方ができるのだ。

「洗えるUSBブランケット」で暖かく眠ることができる

各種ストーブを試してみたが…

車中泊専用のヒーターとしては、イワタニのカセットガスストーブ「マイ暖」が人気だ。しかし実際に使ってみると、いくつかの課題が見えてきた。まず、一酸化炭素中毒を防ぐため、ドアを開けて使用する必要がある。そうすると温かい空気が逃げてしまい、なかなか室温が上がらない。さらに、車での移動時の振動が原因なのか、セーフティー機能が頻繁に作動してしまい、思うように使えなかった。

それに比べると電気ストーブは比較的安全だが、消費電力が大きいのが難点だ。RVパークなど、電源が確保できる場所なら問題ないが、そうでない場合は現実的ではない。電気毛布も同様で、大容量のポータブル電源があれば快適に使えるが、そうでなければ長時間の使用は難しい。

ストーブは難しい……

意外な方法で車内を温める

実は、車内を温める方法として意外と効果的なのが、お湯を沸かしたり、煮物を作ったりすることだ。寒い夜、IHヒーターでおでんを温めたときのことだが、湯気が加湿効果を発揮して車内がポカポカに。食べ終わる頃には汗が出るほどだった。

おでんは湯気が加湿効果を発揮

食事の時間でなくても、お湯を沸かしてお茶を入れれば、驚くほど短時間で車内が暖かくなる。これは、加熱による温度上昇と湯気による加湿の相乗効果だろう。そのお茶を飲めば、体の中から温まる。この時期はスーパーなどでパウダー状の生姜湯が販売されているが、それを常備しておくと、寒い夜も温かく過ごせるだろう。

温泉施設を活用する

最後に、とっておきの寒さ対策を紹介しよう。最近は「湯~YOU パーク」という施設が全国各地にでき、2024年12月10日時点で108カ所を数える。その多くが温泉を備えているため、こういった施設で温泉に入って体を温めるのも効果的な方法だ。温泉で体の芯から温まれば、車内での寒さも気にならなくなる。案外、これが一番手っ取り早い寒さ対策なのかもしれない。(マイカ・井上真花)

■Profile

井上真花

雑誌、書籍、新聞やWeb記事などを制作する編集プロダクション「有限会社マイカ」の代表取締役。コロナ禍を機にフルリモート体制となり、自作キャンピングカーを職場とする「バンワーク」を実践中。2024年7月に全国制覇を果たした。