「自分のおこづかい」をお互いに知っていますか?

ここまで読んできた人のうち、妻が正社員のケースでは、「おこづかいは自分の稼ぎからなんて当たり前でしょ?」と思うかもしれません。
しかし、「それぞれ自分のおこづかいはいくらかを認識している」のと、「よく分からないまま自分の稼ぎの余裕をおこづかいとしている」のとはまったく違います。

女性もがんばって働いている夫婦でよくあるケースは「夫が公共料金や家賃などを払い、妻が食費や子育て費用は払う」というようなざっくりしたルールしかなく、お互いのおこづかいも貯金目標も不明確なケースです。これはよくありません。

電気代を除くと、公共料金や家賃は比較的安定的な出費である一方、食費や子育て費用は子どもが増えたり大きくなるに従い高額になっていくことがあります。学校がらみの臨時の出費もバカにならず、女性の負担はアップダウンするため、自分のおこづかいをガマンしてやりくりしていることがあるのです。

最初は年収の比率で妥当だったはずの分担も、女性のほうが負担が重くなっているとしたら、これは修正が必要です。育休明けで時短勤務をしている場合などは、女性の年収ががくんと下がることもありますし、こうしたケースも見直しが必要です。

このとき「おこづかい」と「貯金の目標額」をお互いが共有できると、それぞれの余裕や適切な負担割合が見えてきます。「おこづかい」という自由な予算と「貯金」という将来に向けたノルマをまとめて決めてしまうことがポイントです。

女性ばかりが家計のやりくりを苦しんでいたのに、話し合ってみたら、実は夫のほうは家計に余裕があることもしばしばです(そしてそれを飲み代に使っていたりする)。
おこづかいの差が2倍あった、なんてこともあり、こうした問題は話し合ってみなければ気がつきません。 

共働きの場合、お互いの財布にあまり深入りしない傾向がありますが、ふたりが協力して家庭を守り子育てするお金を稼いでいるわけですから、ちゃんと話し合い、納得のいく家計負担のシェアを行うべきです(子どもがいなくても話し合うべき)。
 

貯金は10%以上を目標に検討してみよう

ちなみに貯金の目標は、手取りの10%以上を目指したいもの。家計の負担が少ない方は15%以上貯金するなど、家計負担と貯金ノルマをバランス良くシェアするのも方法のひとつ。
高校受験のため予備校に通う場合は中学に入ったあたりから学費問題が顕在化します。できるだけ多く、小学校のうちに貯めておきましょう。

そうそう。最後にひとつアドバイス。

お互いの年収から確保したそれぞれのおこづかい、互いに使い道を問いただすような無粋なことはしてはいけませんよ。自由に使っていいのがおこづかいなのですから。ときにはムダづかいも自分に(相手にも)許してあげましょう。

そして時々はお互いに「ごくろうさま」のプレゼントもしたいもの。自分の稼ぎから出たおこづかいで、おいしいスイーツや誕生日プレゼントを選んであげましょう。

おこづかい制が上手に機能することは、共働き夫婦の円満のヒントかもしれませんね。

やまさき・しゅんすけ 「人生の幸せの問題は、たいていはお金の問題である」という考えのもと、お金と幸せについて考えるファイナンシャル・プランナー(FP)。公的年金制度・退職金制度、投資教育が専門。Twitterでは毎日一言「お金の知恵」をツイートしてます。副業はオタクで、まちあるき、アニメとコミック、ゲーム好き。所属学会は東京スリバチ学会と日本年金学会