子どもがグズグズしているときだけ「早くしなさい!」と叱り、時間通り動いたときは無言。
子どもがおもちゃを散らかしているときだけ「なんで片づけないの!」と叱り、片付けているときは何も言わない。
これって、赤ペンでテストの出来ていないところだけネチネチ、チェックする添削先生に似ていませんか?
どのようなことなのか、『「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。
一生懸命書いたプリントを、真っ赤に直された経験ってありませんか?筆者はあります。そのテスト用紙を返却されたとき、母が角を生やす顔を想像してしまい、下校中、道路の溝にバラバラに破って捨てたことがあります。
毎日毎日、子どもを叱ってばかりいるママ。でも、少しだけやり方を変えてみませんか。出来ていないところには片目をつむり、出来ている部分だけを評価してみましょう。きっと子どもの態度が変わってくるはずです。
ひらがなの練習の場合
次の2枚の用紙を見てください。どちらも全く同じものです。
右の用紙は、子どもは“ほ”を書いたのですが、ほとんどの“ほ”の右上の部分が“ま”のように飛び出してしまっています。唯一、真ん中の“ほ”だけは突き出すことなく書けています。
正確に書けた真ん中の「ほ」は、おそらくたまたま手が止まり、線を突き出さないで書けた“まぐれ”だと思われます。
こんなとき、真っ赤に直されたらどう感じますか?
筆者は30年間、子ども達に文字指導をしていますが、添削して、「こんなに間違えたんだ。今度は直されないように頑張って注意して書こう」と反省し、奮起する子どもには一人も出会ったことがありません。みんな大抵、顔色が曇ります。
こんなときは、次のようにしています。
1.間違っている文字は一切無視します。間違えている文字に対して、ああだのこうだのとダメ出しはしません。
2. 唯一正しく書けている“ほ”だけを取り上げます。そして「わあ、この“ほ”は線を突き出さないで上手に書けたね」と、何故この字が良いのか理由を伝え、褒め称えます。
3.赤ペンは持たず、綺麗な色鉛筆やラインマーカーを使って花丸を描きます。何故なら赤色は、たとえマルをつける場合であっても、攻撃的な色だからです。
結果、子どもたちは「今度はもっと丸をもらおう!」と、積極的に頑張ります。