2. 裁判離婚のメリット・デメリット
調停でも離婚が決まらなかった場合は、最終的に訴訟(裁判)で離婚の成否を判断してもらいます。
裁判では相手の承諾は不要ですが、民法770条1項に定められた「法定離婚事由(裁判で認められるための離婚の理由)」が必要です。
法定離婚事由には、不貞行為や長期間の別居などが挙げられます。裁判官は、客観的な事実や証拠に基づき離婚を認めるか判断します。
裁判離婚の判決には強制力があり、白黒がつけられるメリットがあります。一方で、法定離婚事由がなければ離婚が認められず、解決まで時間がかかるデメリットもあります。
3. 別居期間を設ける方法も。一人で悩まず相談を
ご相談者の場合、別居期間を設けるのも一つの方法でしょう。すぐに離婚できなくても、夫と当面別居することで、お互いに離婚後の生活をイメージしやすくなります。時間が経つことで、頑なに離婚に反対していた夫も冷静になる可能性があります。
また、夫の方が収入が高い場合は、別居中の婚姻費用を妻に支払う義務が生じるため、それを負担に感じて離婚に応じることもあります。
ケースによりますが、5年程度の別居期間があれば夫婦関係の破たんが認められ、離婚できる可能性があります。
ただし、夫に無断で子どもを連れて別居すると、親権争いで不利になることがあるので、極力避けた方がよいでしょう。また、別居時に夫の預金通帳や権利証などの重要書類を持ち出すと、後々トラブルになる可能性があるため、控えるべきでしょう。
離婚は人生の大きな決断であり、精神的にも物理的にも負担の大きい手続きが発生します。一人で抱え込まず、まずは弁護士や自治体の無料法律相談などを利用して、専門家に現在の状況を相談することをお勧めします。
(記事は2025年9月1日時点の情報に基づいています。質問は実際の相談内容をもとに再構成しています)
理崎智英(弁護士)
一橋大学法学部卒。東京弁護士会所属。登録番号43200。離婚・男女問題に力を入れている。豊富な解決実績・メディア出演多数。培ってきた経験やノウハウを活かし、一人ひとりに合わせたオーダーメイド型の解決策を提示している。趣味は、テニス、ビリヤード、生け花。
【記事協力:離婚のカタチ】
「踏み出す一歩 未来の選択」をコンセプトに、朝日新聞社が運営する離婚の悩みに寄り添うポータルサイト。離婚を検討する人にとって役立つ情報をお届けするほか、お住まい近くの離婚に詳しい弁護士を探す機能がある。


























