ついに到着、最果ての絶景、パンゴンツォ

いよいよ『きっと、うまくいく』めぐりのクライマックス。10年間行方不明だった主人公ランチョーが、親友のファルハーンとラージューや恋人のピアと再会した湖、パンゴンツォにやってきた。レーを出発して半日がかかり。刻々と変わり続ける景色に標高5000mの峠越え。乏しい経験の中からだが、これほど“はるばる”という言葉が似合うと感じたことはない。

目の前に現れたパンゴンツォは、とにかく青い。バカみたいだが、青くて、蒼くて、碧かった。目が覚めるような鮮やかな青、吸い込まれそうに深みのある群青、雲がかかるとたちまち灰色がかり、光が射すと輝きを放つ。

湖を囲む山肌の摩訶不思議なグラデーション模様も手伝って、火星か金星か、別の惑星に来たとしか思えない。陳腐だとは思うが、とにかくべらぼうな別世界感。この景色には大勢の映画人が惹きつけられ、インドの壮大なラブロマンス映画『命ある限り』や、ターセム・シン監督の『落下の王国』でもロケ地として使われている。

が、ここでハタと気がついた。ヒロインのピアは、確かスクーターで湖畔にいるランチョーのもとに駆けつけたんじゃなかったか。そりゃムリだ。いくらなんでもそれはムリ。ランチョーの学校から湖まで、映画ではすぐ近所な気がしたけれど、撮影隊は相当な労力をを投入して、パンゴンツォまでやってきていた。スタッフ、キャスト、撮影機材にスクーター。映画づくりとはかくもタイヘンな大事業なのだ。

 

パンゴンツォへの道すがら、放牧されていた家畜の群れ。ヤクだと教えられたが、どうも角の形が違うっぽい。ヤクと牛を掛けあわせたゾと呼ばれる家畜も多い。

 

土と石ばかりの景色の向こうに、ついに見えたよパンゴンツォ。

 

写真中央。湖に細く突き出している浅瀬のような部分が『きっと、うまくいく』のラストシーンの舞台。

 

 

近づいてみた。

 

高山病と思しき体調不良で軽くダウン。絶景にたどり着いた悦びとない混ぜになってわちゃくちゃ。

 

映画では、この奥からカリーナ・カプール扮するピアがスクーターに乗ってやってくる。

 

澄んだ水。塩湖なので塩辛いが、中国領の東側に行くと淡水だという不思議。