刊行にあたり、ハン・ガン日本語版の版元7社が集結し「日本語で読めるすべてのハン・ガンフェア」を12月下旬より開催、1月7日発売の季刊文芸誌「文藝」ではハン・ガン特集を掲載。

株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、韓国のノーベル文学賞作家、ハン・ガンさんの受賞後初の作品『光と糸』(斎藤真理子訳 税込定価2,200円)を2025年12月19日に発売いたします。
去年の一月に古い靴の箱から見つけた中綴じの冊子の中で、一九七九年四月の私は二つ
の問いを自分に投げかけていた。
愛ってどこにあるのかな?
愛って何なのかな?
一方で、『別れを告げない』が出版された二〇二一年の秋まで、私はずっと次のような
二つの問いが自分の核を成していると考えてきた。
世界はなぜこれほど暴力的で、苦痛に満ちている?
と同時に、世界はなぜこれほど美しいのか?
この二つの問いの間の緊張と内なる闘いが私の書き仕事を推し進める動力だと、長い間
信じてきた。最初の長篇小説から最新の長篇小説まで、私の問いはずっと、異なる局面を
通過しながら前進してきたが、この二つだけは変わることなく一貫していたと。しかし二、
三年前から、その思いに疑いを抱くようになった。本当に私は、二〇一四年春に『少年が
来る』が出版されたあとで初めて、愛について――私たちを結びつけている苦痛について
――問うようになったのだろうか? 最初の小説も最新の小説も、もしかしたら私のすべ
ての問いの最も深いところにある層は、常に愛に向かっていたのではなかったか? それ
が私の人生のいちばん古い、根源的な基調音だったのではないか?
――『光と糸』より一部抜粋

『光と糸』は、最終ページにカラーで収録された、ハン・ガンさんが8歳の時に書いた詩を起点に、光と愛をめぐって、著者自らが一冊の「作品」として作り上げました。

『光と糸』より
本書は、人々に深い感動を与えたノーベル文学賞受賞記念講演「光と糸」全文、創作についてのエッセイ、5編の詩、光を求めて枝葉を伸ばす植物をめぐる庭の日記、そして自身による写真を、ハン・ガンさん自らが編んでいます。韓国での発売初日には1万部を売り上げ、各書店で総合ランキング1位になるなど大きなニュースになりました。
アジア人女性として初めてノーベル文学賞受賞者となったハン・ガンさんは、2024年10月に受賞したのち、感謝の言葉を発信したものの韓国国内での記者会見は行いませんでした。その後、スウェーデン公共放送のインタビューで「世界には多くの苦痛があり、私たちはもう少し静かにしていなくてはなりません」と話しています。
『光と糸』の刊行に際してハン・ガンさんは、「最初から最後まで光のある本にしたかった」とコメントを寄せられました。
12月下旬からはハン・ガン作品を刊行する日本の出版社7社が集結し、「日本語で読めるすべてのハン・ガンフェア」を全国の200軒以上の書店で順次開催することにも注目が集まっています。開催書店では邦訳全作品チャートなどを掲載した特製リーフレットを配布予定です。
フェア開催書店一覧|出版社合同「日本語で読めるすべてのハン・ガン」フェア
また、1月7日発売の「文藝 2026年春季号」では、特集「ハン・ガンを読む――傷と庭を抱いて」を掲載。ハン・ガン作品の日本語版翻訳者すべての方が集まった座談会、さまざまなジャンルで注目のクリエイター陣による読書会など、読みごたえのある内容となっています。
文藝|河出書房新社
「文藝 2026年春季号」ハン・ガン特集 目次
特集
「ハン・ガンを読む――傷と庭を抱いて」
詩(再録)
ハン・ガン 斎藤真理子訳「声(たち)」(『光と糸』所収)
座談会
「ハン・ガン、オール翻訳者座談会」
きむふな×井出俊作×斎藤真理子×古川綾子
読書会
「11月21日、ハン・ガン作品をみんなで読む」
中村佑子、小川公代、金川晋吾、年森瑛、待川匙
これまでの執筆のすべてが凝縮された"ハン・ガン自身によるハン・ガン"である、特別な一冊『光と糸』(斎藤真理子訳)の日本語版発売に、ぜひご注目ください!
●著者 ハン・ガン

(C) Paik Dahuim
1970年、韓国・光州生まれ。1994年、短編「붉은 닻(赤い碇)」でソウル新聞新春文芸より作家デビュー。2005年、短編「몽고반점(蒙古斑)」(後に『菜食主義者』に収録)で李箱文学賞を受賞。2016年『菜食主義者』でブッカー国際賞を受賞。2023年、『別れを告げない』でメディシス賞外国小説部門、翌年同作でエミール・ギメ・アジア文学賞を受賞。2024年、ノーベル文学賞を受賞。他の著書に小説『ギリシャ語の時間』、『回復する人間』、『少年が来る』、『すべての、白いものたちの』、詩集『引き出しに夕方をしまっておいた』、エッセイ集『そっと静かに』、絵本『かみなりせんにょと いなずませんにょ』、童話『涙の箱』など。また、「文藝」2019年秋季号に「京都、ファサード」を寄稿(後に『あなたのことが知りたくて』に収録)している。
●訳者 斎藤真理子
翻訳家。パク・ミンギュ『カステラ』(共訳)で第1回日本翻訳大賞、チョ・ナムジュ他『ヒョンナムオッパへ』で韓国文学翻訳院翻訳大賞、ハン・ガン『別れを告げない』で読売文学賞(研究・翻訳賞)を受賞。他の訳書にチョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』、チョン・セラン『フィフティ・ピープル』、チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』、ファン・ジョンウン『ディディの傘』、イ・ラン『声を出して、呼びかけて、話せばいいの』(共訳)など。著書に『増補新版 韓国文学の中心にあるもの』、『「なむ」の来歴』など。●新刊情報

書名:光と糸
著者:ハン・ガン
訳者:斎藤真理子
仕様:四六変型版/上製/214頁
税込価格:2,200円(本体2,000円)
発売日:2025年12月19日
ISBN:9784309209418
URL:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209418/
※電子書籍も同日に発売いたします。詳細は各電子書籍ストアでご確認ください。
目次
光と糸
いちばん暗い夜にも
本が出たあと
小さな茶碗
コートと私
北向きの部屋
(苦痛に関する瞑想)
声(たち)
とても小さな雪のひとひら
北向きの庭
庭の日記
もっと生き抜いたあとで
訳者あとがき
●19万部を突破!ベストセラー『すべての、白いものたちの』河出文庫

著者:ハン・ガン
訳者:斎藤真理子
文庫版解説:平野啓一郎
仕様:文庫判/200頁
税込価格:935円(本体850円)
発売日:2023年2月7日
ISBN:9784309467733
URL:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309467733/
※電子書籍でも購入可能です。詳細は各電子書籍ストアでご確認ください。
●「日本語で読めるすべてのハン・ガンフェア」全国の書店で開催!

「日本語で読めるすべてのハン・ガンフェア」パネル画像 ※実際のパネルにはMAPが見られるQRコードが入っています
開催時期:12月下旬より順次
開催書店:フェア開催書店一覧|出版社合同「日本語で読めるすべてのハン・ガン」フェア
参加出版社:河出書房新社 クオン 小峰書店 晶文社 白水社 評論社 毎日新聞出版(50音順)
★開催書店で邦訳全作品チャートなどを掲載した特製リーフレットを配布します!
『光と糸』が出版されることで、ハン・ガンさんの邦訳書は13冊になります(2025年12月時点。短編を収録したアンソロジーを含む)。
現在、もっとも多くの作品が翻訳されている言語が日本語です。
出版社7社(河出書房新社、クオン、小峰書店、晶文社、白水社、評論社、毎日新聞出版)が協力して、フェアの準備を進めてきました。そして『光と糸』の発売にあわせて12月下旬より順次、全国の書店で「日本語で読めるすべてのハン・ガン」を開催します!
「日本語で読めるすべてのハン・ガン」フェア開催のお知らせより
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