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 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。田中ひかるの著書『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案に、明治時代、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)という2人のナースの冒険物語だ。劇中、苦労を重ねるりんを気遣う幼なじみの竹内虎太郎を演じているのが、「宙わたる教室」(24)などで好演を披露し、注目を集める若手俳優・小林虎之介。連続テレビ初出演の舞台裏を聞いた。


-連続テレビ小説初出演が決まったときのお気持ちはいかがでしたか。


 長い歴史を持ち、幅広い世代の方がご覧になるドラマなので、素直にうれしかったです。これまでも、連続テレビ小説に出演した友人が街中で声を掛けられる様子を見て、どれほど多くの方がご覧になっているのか、実感していましたし。また、オーディションのときからチームの雰囲気のよさは感じていたので、出演が決まったときは、一緒にオーディションを受けた友人が、「参加できてよかったね」と応援してくれました。


-演じる竹内虎太郎について教えてください。


 虎太郎はとてもまっすぐな青年です。ただ、巡り合わせがよくないのか、幼なじみでありながら、りんとはなかなか足並みが揃わないんです。それでも、虎太郎は常にりんのことを思って行動しています。そういうまっすぐなところは、僕自身に近いものがありますし、同じ「虎」の字が入っているので、僕の名前と役名を間違えられるかも…と思いつつ、ご縁を感じています。


-舞台が明治時代ということで、演じる上で難しさを感じることはありますか。


 現代とは所作のひとつひとつが異なるので、撮影に入る前に先生方からご指導いただきました。話し方も、栃木ことばに苦労しつつ、現代風にならないように気を付けています。そういう点では、お芝居の難しさを感じています。虎太郎を演じるにあたって、演出の方からは「明治を生きる男として、精悍(せいかん)で強くあってほしい」というお話がありました。


-虎太郎とりんの微妙な関係は視聴者も気になるところですが、2人の距離感をどのように捉えていますか。


 りんと二人のときは、虎太郎はそれほど距離を意識していませんが、りんが“元・家老の娘”という身分の違いもあり、どこか引け目も感じています。それでも、りんをお嫁に迎えたい気持ちはあったはずですが、家族のためにりんが嫁いだ時点で諦め、りんが苦しいときは寄り添い、助けてあげたいと考えるようになったのかなと。だから今は、恋愛というよりも、大切な人を守るような気持ちでいると思います。


-第2週では、嫁ぎ先の奥田家から逃げ帰ったりんの東京行きを、虎太郎が助けるシーンがありました。


 あそこは、虎太郎が最も男気を見せるシーンなので、気合いを入れて演じました。あのとき虎太郎は、奥田家の連中が捕まえに来たら戦うつもりでいたでしょうし。旅立つりんと娘の環(たまき)を見送るときは、自分が一緒に行けない悔しさはありつつも、りんには東京で頑張ってほしいという気持ちでいたはずです。


-主人公のりんについて、小林さんの考える魅力を教えてください。


 「困っている人を助けたい」という意識が強く、しかもそれを行動に移せるところがすごいですよね。第1週で村にコレラがはやり、虎太郎の家族が感染したときも、近所の人たちが敬遠する中、野菜を届けてくれましたし。なかなかできることではないので、立派だと思います。

-りん役の見上愛さんとの共演はいかがですか。


 見上さんは、お芝居のスイッチをすぐに切り替えられる器用な方で、同世代の俳優としてとても刺激を受けています。現場では、大変なことも多いはずですが、常に元気いっぱい、楽しそうで。そんな見上さんが、「また間違えた」と泣き崩れるりんを演じたシーンを現場で見たときは心打たれ、「きっといい作品になる」と確信しました。


-見上さんの座長ぶりはいかがですか。


 座長としても、とても頼りになる方です。栃木ロケのときは、自然豊かな場所で撮影していたので、虫に刺される人が多かったんです。そうしたら後日、皆さんに薬を差し入れてくださって。そういう細やかな気配りをされる様子が、頼もしく感じられました。


-そのほか、現場の様子はいかがでしょうか。


 共演者やスタッフの皆さんと仲良く、和気あいあいと撮影は進んでいます。虎太郎は、りんの実家の一ノ瀬家の方々と一緒のシーンも多く、僕が現場に行くと、いつも水野(美紀/りんの母・美津役)さんが温かく迎えてくださるので、すごく助かっています。早坂(美海/りんの妹・安役)さんは、最初は緊張していたのか、一人で離れたところにいたので、僕の方から声を掛け、打ち解けていきました。今では皆さん、すっかり本当の家族のようで、うらやましいくらいです。


-ところで、小林さんは公式SNSの動画で「ご自身以外で気になるキャラクターは?」という質問に「島田」と答えられていました。第3週でその島田健次郎(佐野晶哉)も登場しましたが、どんな点が気になっていますか。


 島田は虎太郎にとって“恋敵”に当たり、スタッフの方からも「放送が始まったら、視聴者が島田派と虎太郎派で分かれるのでは」と伺っていたんです。負けるつもりはありませんが、島田役の佐野さんは人気アイドルなので、厳しい戦いになりそうです(笑)。でも、僕も頑張ります!


-連続テレビ小説初出演ということで、撮影を通じて俳優としての成長につながったと感じることはありますか。


 連続テレビ小説では、所作などを細かく指導してくださいます。僕自身、そういう時代背景に合わせた所作をきちんと学んだことがなかったので、歴史的なことも含め、とても勉強になりました。今後のお芝居にも役立つと思うので、大きな収穫になりました。


-それでは最後に、小林さんの考える「風、薫る」の見どころを教えてください。


 女性が一人で暮らしていくことが難しい時代に、女手一つで子どもを育てなければならなくなったりんは、看護の道に希望を見出していきます。そうやって社会の荒波に立ち向かうりんの姿は、皆さんの心にも響くはずです。ぜひ虎太郎ともども、応援してください!


(取材・文/井上健一)