撮影:小林裕和

ぶう:ボク、地元が高円寺なんです。それで、子供の頃からどうも地元に有名人が住んでいるぞというのはなんとなく知ってたんです。大槻ケンヂなのか池田貴族なのかわからないような状態のベタな感じで。

大槻:人間椅子の和嶋くんかもしれない(笑)。

ぶう:きっかけは高校の時に軽音部のヤツから文化祭でやるバンドのボーカルに誘われて。それまで音楽もロクに聴いたことがないし、バンドもやったことなかったんですけど、初めてバンドやるときに、そいつが特撮の1st『アベルカイン(00年)』を持ってきて、聴いてみたらすげえ良くて。「コレがあの例の同じ地元の人!」と繋がって。そこから筋肉少女帯のCDを聴いたり大槻さんの本を読んでドハマりしちゃって…。

 

大槻:それぞれにツッコミどころのある話だね…。これがKISSのジーン・シモンズだったら「アッハッハ!俺の頃は~」って言えるんだけど、日本人はこういう時恐縮しちゃうんですよね(笑)。「ありがとうございます」ってなっちゃう。

それでさあ、「ジャケ買い」でいうと僕の場合は最初にジャケ買いしたのがELPの『タルカス』で。たしかLed Zeppelinの4枚目か、フリートウッド・マックの『噂』と迷って結局ELPを選んで、それで人生変わった気がするからね。あの時『噂』買ってたらどうなってたかな。

団長:ホント人生変わってますよ! 俺小学校の頃、怖かったですもん。特にアーティスト写真が載っているわけでもない、あのジャケットを見て怖くて。

大槻:わかる!

団長:最初『踊るダメ人間』の良さが理解できなかったんですよ。小学校2年生ですし。ずっとサビで「ダメダメ」って言ってるし。何がいいのかダメなのかわからなくなっちゃって、お昼の放送でそれを流したんです。

大槻:わ~! それだけはやっちゃいけないよ~!

seek:怖かったのに流したんや(笑)。

団長:誰かにこの混乱を伝えたくて。それで教室はザワつくわけですよ。「誰がこんな曲をリクエストしたんだ」みたいな雰囲気になって言い出せなくなっていたら「今の曲は2年何組浜守康太郎くん(※団長の本名)のリクエストです」とアナウンスが流れた瞬間、もう完全に魔女狩りみたいになっちゃって…!「おまえはどうしてあんな毒みたいな音楽を!」って。

 

撮影:小林裕和

大槻:「毒みたいな音楽」は褒め言葉だね。

団長:その一連の出来事が衝撃的で、お年玉でCDを買い集めるようになったという。

大槻:最初にトラウマになるくらいがいいよね。

seek:ジャケットもそういう意図はあったんですか?

大槻:あれはねえ、ジョージ秋山先生の『デロリンマン』というマンガのキャラクター「オロカメン」なの。それが好きで、自分たちの当時の心象風景をそのまま擬人化したようなキャラだと思ってて。ちゃんと使用許可を取ったんだよ。当時はバブルでさぁ、ジョージ秋山プロに払う分も制作費に入ってたんだろうね。

トラウマは重要っていうか、犬神サアカス團の犬神凶子ちゃんも最初に筋少をしったきっかけが朝の番組だったみたいで、それがすごく怖かったって言ってて。

ぶう:それは凶子さん、自分のこと棚に上げて言ってますね!

大槻:後に自分がトラウマを与える側になってしまうとは…。