Hitomi:あ、でも俺、一番最初に筋少を知ったのはCMソングだったんですよ。筋肉のコリをほぐすみたいなヤツです。
大槻:ビンダスローションだ。
Hitomi:そうです、『サボテンとバントライン(90年)』が流れてて。
大槻:ビンダスローションの時は、筋肉から「筋肉少女帯」を連想したみたいで、企画書に「歌詞は"きんきん筋肉 ビンビンビンタス"」って書いてあって(笑)。「あー俺こういうの歌わなきゃいけないのかなあ」って思ってたら、「なんでもいいです」って言われたの(笑)。
seek:俺は関西だったんでチェリオのCMですね。
大槻:「俺にチェリオを飲ませろ」ってヤツだね。『日本印度化計画(89年)』の「俺にカレーを食わせろ」を「俺にチェリオを飲ませろ」に変えてくれっていわれて、当時はポリシーが無かったので「いいっすよ」って(笑)。
チェリオは関西圏でガンガン流れてたみたいで、関西の人には「チェリオのCM観てました」ってよく言われる。
ぶう:ポストウォーターのCMもありましたよね。
大槻:あれは初めてCMソングを意識して、今はいい詞だと思うけど、当時は自分の中で日和ったつもりで、魂を売って、自分なりのポップな歌詞を作ってみたんだよ。でも、当時のレコード会社のディレクターが「メーカーの人にもうひと押ししたいんで、"ポストウォーター最高に美味しいです"っていう歌詞で別バージョンも作ってくれ」って。
団長:ええ~!
seek:大人の匂いがプンプンしますね(笑)。
ぶう:ボク、最初に聴いたのがポストウォーターのCM(『君よ!ポストウォーターで変われ!』)の方だったんです。
大槻:最初がアレ!?
ぶう:その後に元の方(『君よ!俺で変われ!(93年)』)を聴いたので、そっちに違和感があっちゃって…(笑)。
大槻:そんなもんかもしれないね。作っといてよかったって今、初めて思ったよ。
ぶう:「ユーザーのご意見を!」ってところがすごくいいです!
団長:俺とぶうって同い年なんですけど、俺が最初に見た記憶があるのは進研ゼミのCM(『蜘蛛の糸(94年)』)で、アレも当時意味わかんなくて!
大槻:進研ゼミのCMだから他のバンドは皆当然だけど受験生ガンバレソングを作ってきたんだよ。だから筋少だけ「友達がいないからノートに猫の絵を描く」みたいな暗い歌を書いてやったんだ…、そしたら今思い返せばこれもバブルだったからかなあ…、通っちゃってさあ。
団長:受験なのに「大丈夫だよねぇ」って! 不安になりましたね。
大槻:受験で「大丈夫だよねぇ?」って聞いちゃダメだよね(笑)。実はCM監督がハイパーメディアクリエイターの高城剛さんだったんだけど、すごく面白がってくれた。
団長:あれも受験生のトラウマですよ。
大槻:あれCM撮影の時に「踊ってくれ」って言われて、でも踊れないから変な動きになっちゃってなおさら受験生の不安を煽るっていう(笑)。
それで、毎月進研ゼミの会報みたいな冊子で人生相談をやることになって、メーカーや事務所から「これをやれば時期CMがとれるから!」と説得されて行ったら、瓶底メガネに「必勝」って鉢巻きさせられてさ(笑)。アレは心売りまくりでしたよ。でもみんなが聴いてくれたんだね、やってよかったよ。
団長:まさに『タイアップ(93年)』ですね。