「生きる力」の強い子どもは、「愛され力」が高いといわれています。

「愛され力」とは、愛されている自信のことです。人に愛されている自信のある人は、基本的に正しい判断と決断力を発揮し、行動できるので、「生きる力」の強い子どもに育ちます。

今回は、元心理カウンセラーである著者が、「生きる力」の基礎とされる「愛され力」を身につける方法を、心の仕組みの解説とともにご紹介しましょう。
 

「愛され力」は記憶で決まる!?

「愛され力」の基礎である“愛される自信”は、生まれて7歳までの間に、両親に十二分に愛された記憶によってもたらされるものです。

未来に対する不安や恐れは、過去の経験則によって予測されるものです。
そもそも人の記憶の忘れた状態とは、古い記憶、生きるのに関係ない記憶、思い出したくない記憶等を、意識の底に眠らせ、取り出せなくしたに過ぎないのです。

愛情いっぱいで育てられた幼児は、恐いもの知らずです。

最近、筆者の周囲で、赤ちゃんが大型犬の口の中に手を突っ込んで、あま噛みされて泣きだした話を聞きました。親に守られ、恐い思いをしたことが無い赤ちゃんには、危険なこと、してはいけないことは、安全のためにその都度教えていかなければなりません。

一方、親に余り構われずに育った子どもは、手のかからない子どもに成長しますが、何事にも用心深く慎重になりやすいのです。また、他人の顔色を窺うようになる子どももいます。
これは、幼児の記憶から“愛される自信”が無い子どもが、周囲に気に入られようとがんばっているSOSの姿であることを認識しましょう。

十分な愛情に守られて恐い思いをしたことが無い記憶、幼児期に不機嫌なママの顔ばかり見て育った等の記憶、このように幼児期の記憶は、無意識下の記憶として、経験則の基礎となり、後の行動に影響を及ぼし続ける可能性が高いので気をつけましょう。
 

「愛され力」はいつ身に付くのか?

心理学では、心の成長段階を「乳幼児期(~7歳)」「少年期(小学生)」「青年期(中学生以降)」に分けて解説されています。中でも少年期と青年期にまたがる思春期は、心の問題としての課題が多く取り上げられています。

しかし、昨今の食生活事情により思春期を小学生の中・高学年に迎える児童が多く、思春期の心の問題は少年期と切り離して考えられません。

そこで「愛され力」形成の心の仕組みを、次のように思春期で区切った3段階で解説していきましょう。

(1)乳幼児期…… 0歳~7歳
(2)少年期・思春期……7歳~14歳
(3)青年期(思春期は含まない)……14歳位~20代前半位
(※年齢には個人差がありますので、あくまで目安として下さい)

(1)は両親や祖父母、他の近親者からの愛情、(2)(3)は知人・学友からの愛情で“愛される自信”を形成することができます。

各々の段階で、両親や近親者、周囲から十分に愛情を受けて育った子どもは、異なる社会環境で十分に愛情を受けられたので、「愛され力」の高い人間に成長していきます。