左より、辰巳英治総監督、佐々木孝太選手、井口卓人選手

ニュルブルクリンクに、今年こそSUBARUの旗を

話はニュルブルグリンク24時間耐久レースへ移る。4人のドライバーで戦うSUBARUチーム唯一の日本人ドライバーとして参戦する佐々木選手への質問は、「外国人との体格差についてシートはどう調整するのか?」というもの。

佐々木選選手は、「ニュルの車は、意外にね、ノーマルの部分が残っているんですよ。チルトハンドルとか、シートレール(前後調整)がついていたり、ガソリン給油も一般のスタンドの方式と同じだし」と量産車ベースが装備面でも結局もっとも優れているコメント。

辰巳総監督も「ノーマルパーツっていいわ。ボディも全部ノーマルだし、サスペンションも同じ。そういう技術で車をつくっていくと、ノーマルってね。すっごくよく考えられているんですよね。これは宣伝でもなんでもなくね……いやノーマルってイイ」とSUBARUの量産技術・パーツの信頼性が優れていることを強調した。
 

slow(減速)の指示を無視する全日本ラリー選手戦のドライバー

左より、勝田範彦選手、足立さやか選手

続いて、目下SUBARU10連勝中の全日本ラリー選手権について、参戦するドライバのー勝田範彦選手、コドライバー(助手席からコース指示を行う co-driver)の足立さやか選手に、ラリーについて聞いた。

勝田選手は「いや、まだ車はできあがってないんですけど、すごく性能が高い。できあがるのが楽しみですね。ポテンシャルの高さを感じる」と会場にも展示されているベース車(WRX STI)を見つめながら語った。

ラリーは極めて高速でコースを走破するため、コドライバーのコース指示を聞いて直感的に運転をしなければならない。コースノート(コースマップや運転指示が記載)を読むコドライバーの役割は極めて重要だ。その点、足立選手は……。

「走行中は、コースはほとんど見ないでコースノートを読んでいます。身体でGを感じたりするんですけど、予期しないことがおこると、パニックになりますね」という。勝田選手はミスをすると、レース後、足立選手にコース外で蹴飛ばされると話したが(笑)、ドライバーとコドライバーの呼吸があうんでないと、とても完走すらできないのがラリーの厳しさである。

「(勝田選手は)ジャンプの楽しさばかりを語ってますけど、ノートにはSLOW(減速)→ジャンプと書かれているんです。スローしてジャンプなのに、スローしないんです……」という足立選手に対して、「いや、気が高まって、ついいっちゃえーになるんですよ。ははは……」と勝田選手は弁明。それに足立選手は「そういう時は『スローって言っているでしょ!』とこちらもテンションが上がりますね」と応戦していた。

すでに漫才状態のふたりであるが、辰巳総監督も「スタートしたらドライバーは制御できないからねぇ」と、笑った。佐々木選手も「ラリーだけはやりたくない。時速200km/hのオフロードなんて信じられない」と苦笑した。