トークショーを行った松永大司監督(左)と杉咲花

 映画『トイレのピエタ』の公開前夜祭トークショーが5日、東京都内で行われ、出演者の杉咲花と松永大司監督が登壇した。

 本作の原案は手塚治虫の病床日記。余命3カ月と告げられた宏(野田洋次郎)と孤独な少女・真衣(杉咲)が出会い、真衣が宏に生きる力を与えていく様子を描いた青春物語。

 松永監督はオーディションで杉咲を選んだ理由について「杉咲の『初めまして』の声は本当に小さくて、この子はきっと“無いな”と思ったが、芝居してもったらすごかった。本当にパワーがあって、そのギャップに驚いた。そこから何回も来てもらって、最終的には野田との相性がすごく良くて彼女に決めた」と明かした。

 「オーディションで監督に何度も泣かされた」という杉咲は「私の演技を見た監督に『こんなの俺にもできる』と言われて。本当に怖い人、嫌だなって思った」として笑いを誘いながらも、「監督が言いたいことがすごく分かったし、ちゃんと正面から向き合ってくれているのがすごくうれしかった」と振り返った。

 また「『泣かされた』って言うけど、そもそも泣くシーンだから泣いて当たり前」と語る松永監督に、杉咲は「台本には泣くなんて書いてなかった。“感情があふれだす”とはあったけど」と返した。

 松永監督は、杉咲を精神的に追い込んだ理由について「演技のうまい下手を超えた、もっと感情が壊れる瞬間が見たかった」と説明。最後は杉咲も「泣かされたけど、監督が全部引き出してくれた。真衣になれる環境を作ってくれた」と笑顔で感謝した。