古くて新しいテーマで人気急上昇中!
『だがしかし』(作:コトヤマ)

『包丁人味平』から40余年を数えるグルメ漫画ジャンル。あらゆるテーマが出尽くしたかに思われたが、駄菓子を扱ったコメディ漫画『だがしかし』が登場して人気を集めている。とりわけネットユーザーからの評価が高く、デビュー半年の新人作家がすでに25万部以上を売り上げるという異例のヒット中だ。

田舎で駄菓子屋の息子として育った少年・鹿田ココノツが主人公。駄菓子なんてダサいと家業を継ぐことに否定的なココノツだが、いきなり現れた大手お菓子メーカーの令嬢・ほたると交流を深めるうちに駄菓子の楽しさを再確認していく。

なんと言っても特徴的なのは、実在する駄菓子が毎回エピソードに登場すること。駄菓子の王様「うまい棒」に始まり、「フエラムネ」「ブタメン」「ヤングドーナツ」などなど……幼い頃の思い出を呼び起こすだけでなく、駄菓子にまつわるトリビアも豊富で勉強になる。たとえば筆者の記憶では「こざくら餅」は1パッケージ18個入りだったはずだが、実は時代ごとに18個→15個→12個と減り続け、今では10個になっていることなど本作を読まなければ永遠に知らなかっただろう。

なつかしの駄菓子が呼び覚ますノスタルジー、個性的キャラクターがおりなすハイテンションギャグ、純情少年とエキセントリック美少女との交流、そして駄菓子トリビアと、この作品にはあふれるほどのワクワク感が詰まっている。連載は少年誌だが、大人になってからのほうが楽しめるという意味でも異色なグルメコメディ漫画である。

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。