牛久の荒野に立つワッヘンフィルムスタジオ(※画像はイメージです)
「イバラキ警備隊」の面々がお出迎え。精巧に映るセットも少し引くと手作り感が(笑)

牛久生まれの牛久育ちである飯塚さんは、絵を描くのが好きだった少年時代はマンガ家に憧れ、その後県内の大学でデザインを学びイラストレーターやデザイナーになりたいと思うも、「飽きっぽくて長続きしなくて」と苦笑い。

そこで自分の趣味や好きなもの(=80年代のB級映画やアメリカンプロレス、フィギュアなど)を全部合わせて表現したら面白いのではと考え始めたのが、現在も続けている“ハイパー人形劇”だったという。映画の撮り方、作り方は独学で身に着けた。

茨城県牛久市。こんな風に作品の舞台となることもある

「完成度が高い作品より80年代のB級アクション映画みたいのとか、すごく一生懸命作っているけど低予算だったり、無駄なところに力を掛けて重要なストーリーはハチャメチャだったり。

そういう作品でも映画として存在できて、“B級映画”みたいな感じで愛している人も少なからずいる――そういうものに自分を重ねてじゃないですけど、すごく憧れや救いみたいなものを感じて、自分もそういうものを作りたいという思いがありました。

なので、一生懸命作っているけど技法がダメ、真剣に作っているけどバカとか、そういうことを突き詰めたいっていう感じでした」

そう語る飯塚さんの話を聞くと、ワッヘンフィルムスタジオが生む作品世界がより一層染み入ってくる。しかし粘土で成型して服も手縫い、人形1体作るのに1週間掛かるというその技法は実に手が掛かるもので、画面からはそこに掛ける愛情が、懐かしさやおかしみとなってにじみ出る。

ハイパー人形劇の作り方を説明する飯塚さん。画面に背景となる景色を映し出し、その前で人形を操作する
人形は買い物をした時にもらえる手提げホルダーに糸をつけ、両脇に糸をくくり付けて操る
市販のフィギュアや小物を改造して作中で使うため、気になるものがあると購入してストックしている

「間違ってるなっていうのは完全に自覚していたんですけど(笑)、大事なところは力を入れてないのに不毛なところに力が入ってる――みたいのをどうしてもやりたくて(笑)。とにかく無駄なところにどれだけ熱を込められるか、みたいのが燃えてきちゃって止められなかったです(笑)」