恐らく、過去最大規模の廃墟の合同写真展は、どのようにして開催に至ったのだろうか?
TODAYS GALLERY STUDIOの主宰・沼尻年弘さんにお話を聞いた。
――開催の経緯を教えてください。
本展の草案的なものは、実はかなり昔に思いついたことでした。 カメラマンとしてアパレルブランドのカタログ撮影のために、 地方の廃墟に撮影に行ったとき、今まで思っていた汚くて怖い廃墟とは全く違うイメージに驚きました。
そして、何度か色々な場所を訪れるうちにその廃墟の持つ魅力にはまり、 いつかこの廃墟のイメージを伝える企画をやりたいと思っていました。
――なぜ、「廃墟」をテーマにしたのでしょうか?
廃墟が非常に面白いのは、廃墟自体も変わってくというところです。そこに惹かれました。 最初は使われていた建物が何か理由がありそのまま残されて、時間とともに変化していく。
そしてそのほんのわずかな一瞬の表情が、対局である美しさを産む。 見たときに驚いてもらう。そして、人に伝えたくなる。裏テーマはそんな感じです(笑)。
――出展者はどのように探したのでしょうか?
紹介して頂いた方もいますし、リサーチ段階から目をつけていた方もいたので、直接お願いをしてなんとか出展してもらいました。 皆さま忙しいにも関わらず出展頂いたことは、本当に感謝しております。
――大変だった事はありますか?
私個人のことですが、ギャラリーをやっていくうえで一番大事なことは、自己満足で終わらずお客さまに足を運んでもらうことだと思うのです。
ですので、お恥ずかしい話、最初は企画ベースで廃墟写真の前で怖い話が聞けるとか、廃墟写真の前で撮影会ツアーとか考えたりもしました。
甘かったですね(笑)。ことごとく出展者の方々よりおしかりを受けまして……。当初思ったその気持ちだけで勝負しようと思いました。
あとは、廃墟写真家の方々にも小さな派閥等があるということ、そして横のつながりも強いということでしょうか。
――以前と比べて、開催(準備)をしてからは廃墟に対するイメージは “変わり”ましたか?
もし変わったのであれば、どのように変わりましたか?
準備をするにあたり知識を入れなければお話が出来ないこともあり、出展者さまのお写真などをリサーチしたりしていたのですが、 知れば知るほど奥が深いと思いました。
たかが廃墟といっても、なぜ廃墟になったかというストーリーももちろんありますし、 軍艦島のように世界遺産になんてこともありますから。
そして、全ての展示が終わった後のグループ展特有の化学反応も楽しみにしています。