たとえば、子どもに「毎日3食、食べさせなければいけない」「毎日、風呂に入れなければいけない」というのも、時代錯誤だとか。
「子どもに栄養をとらせなきゃ、とばかり、3食残さず食べさせようとやっきになっているママもいると思いますが、今は栄養失調より、食べ過ぎて病気になる人の ほうが多い時代。無理に完食させる必要はありません。
本当にお腹がすいたときに、本人にとって必要な量だけ食べれば、十分なのです。
また、日本人の極端なキレイ好き、不潔への恐怖も、戦中戦後の後遺症ではないかと考えています。戦後の日本人は、豊かになるため必死に努力してきましたが、豊かになるとはつまり、衣食住と清潔さを確保することでした。
だからこそ、親たちは必死で子どもたちをお風呂に入れて、身ぎれいにさせたかったのでしょう。
今も毎日欠かさず、子どもをお風呂に入れるママは多いですが、冷静に考えると、毎日お風呂に入る必要なんてありませんよね」
さらに高橋さんは、「人に迷惑をかけてはいけない」「時間に遅れてはいけない」も、時代錯誤な強迫観念だと指摘します。
「人はもともと助け合って生きるようにできていますから、人に迷惑をかけたり、助けてもらってかまわないし、時間に遅れても、どうってことはないのです。
子どもの気持ちより、時間に遅れないことのほうが大事だと思っているママが多いのは、ちょっと気になりますね。
もっと言えば、ネット時代の今は、自由で多様な生き方が可能になりましたから、別に勉強しなくたって、学校に行かなくたって、安定した職につかなくたって、やり方次第で、ちゃんと生きていけるのです」
たしかに今は、これまでの価値観が通用しなくなる時代の転換期とも言われています。思い込みを手放して、時代の変化や新しい価値観に目を向けることで、子育てもグンとラクになりそうですね。
肩の力が抜けないママへの“力の抜き方”アドバイス
ここまで高橋さんに、マジメなママが肩の力を抜く第一歩として、思い込みを手放すための思考の切り替え方を教えてもらいました。
でも、切り替えようとしてもできない場合は?ここからは、シチュエーション別に、もう一歩進んだ“力の抜き方”アドバイスを紹介します。
どうしても手抜きできない・思い込みを変えられないとき
完璧主義で、家事や育児のちょっとした手抜きがどうしてもできない、高橋さんが言うように「○○でなければいけない」の思い込みを一つずつ「今の時代はそうじゃないのかも」と考え直そうとしてみても、やっぱりとらわれてしまう……。
そんなママの状態を、高橋さんは次のように説明します。
「“昭和の強迫観念”が強い人は、不安と焦燥感が強く、心身が常に緊張していて、自律神経が“警戒モード”なんです。
“警戒モード”だと、頭が固くなり、生きるか死ぬか、正しいか間違っているか、敵か味方か、マルかバツか、という二極思考になりがち。
本当は三角も四角も五角形もあって、どれでもいいのに、『マルじゃなきゃダメ!!』という、柔軟性のない、極端な思考になってしまうのですね。そんな人は、肩こりがひどかったり、体がガチガチに固くなっていることも多いはず」
思考を柔軟にするには、心身の緊張を緩めていく必要があるそうです。
「つまり、交感神経が活性化しすぎた過緊張の状態を、副交感神経優位に変えていく必要があります。
先ほどお話ししたように『今の時代は、○○じゃなくてもいいのかも』『もっとテキトーでも大丈夫なんだ』と考え方を切り替える努力をしながら、心身の過緊張を緩める工夫をしてみましょう」
副交感神経を優位にしてリラックスするには、深い腹式呼吸をする、ゆっくりお風呂に入る、音楽を聴く、好きな香りを嗅ぐ、心から楽しめる趣味の時間を持つ、といった方法があります。
育児中のママは、休息や自分の時間がほとんど持てていないことも多いので、時間を作って自分に合ったリラックス法を取り入れたいですね。
そのほか、精神科や心療内科でも取り入れられている「マインドフルネス瞑想」や「自律訓練法 」といった専門的な対策法も。インターネットで「過緊張」というキーワードで検索すると、手順も含め、複数の情報が見つかります。