手抜きした後、自分を責めてしまうとき

一方、意識すれば「○○でなければならない」の思い込みから抜け出せるし、手抜きや“テキトー育児”もできるけれど、後で罪悪感にかられるというママもいます。

そんなママへのアドバイスは?

「根がマジメで、手を抜くことに罪悪感が伴う人は、無意識に、親の評価を怖れていることが多いです。『頑張ってちゃんとしないと、親に見放されちゃう!』という幼児期の恐怖感が残っているんです。

根本から解決するには幼児期のトラウマと向き合う必要があるかもしれませんが、まずはそれに気づいて意識することが大切。

そして『今はもう、誰も怒ったり見放したりしないんだ』『自分の好きにやっていいんだ』と自分に言い聞かせましょう。『親の目を気にしていたなんて、笑っちゃう!』と思えれば、ラクになっていくと思います」

子どもの進路が心配で仕方ないとき

根がマジメなママは、具体的に大きな問題やトラブルが起こっていなくても、子どもの友人関係や成績、進路のことなどを心配し始めると、心配が止まらなくなったり、考えすぎたりしがち。

このようなママの心理にも、「勉強ができなかったら、競争に負けて生きていけなくなる!」という“昭和の強迫観念”や、「もし自分があんなだったら、親にすごい剣幕で怒られる!」という子ども時代のトラウマが関係していることが多いそうです。

「子育てに関する漠然としたイライラ・もやもや・不安の本当の原因は、自分の中にあることに気づきましょう。不安になったときは、胸に手を当てて、『自分は今、どんな怖れがあるせいで反応しているのだろう?』と、静かに探ってみて。

ほとんどの場合、実は自分が怖がっているだけで、子どもの方は大丈夫なんです。子どもたちは今の時代にふさわしい生き方を、親よりもよくわかっているからです」

仕事や勉強は、基本的には、マジメに取り組むほど成果が上がりますが、子育てはそうはいかないものです。

「強迫観念にとらわれて、子どもに早起きや片付け、手伝いをするよう、口うるさく怒って、強要していると、子どもは、早起きや片付け、お手伝いが“いや~なもの”だと感じます。

それがトラウマになって、かえって『朝、起きられない』『片付けられない』『家事ができない』大人になりがちです。

『ねばならない』でイヤイヤすることは、結局、親と子のどちらのためにもなりません。

子育てにおいては、親子ともに、毎日、いかに楽しく過ごせるか、がいちばん大切なんです。子どものとき、楽しかった人は、大人になってからも、生きることを楽しめるからです」と、高橋さん。

日本人は全体的に勤勉なので、不マジメに見える行為はすぐに誰かに注意されます。でも、マジメに一生懸命やっていることに対して歯止めをかけられる機会はなかなかありませんよね。

だからこそ、強迫観念にとらわれているかもしれないと感じたら、自ら立ち止まって、肩の力を抜くようにしたいですね。

【取材協力】高橋リエさん

母娘*謎解きカウンセラー。都内メンタルクリニック勤務を経て、2012年より、機能不全家族で育った女性たち向けにカウンセリングサロンをスタート。「無意識の思い込み」に気づき「本当の自分」に目覚める「自分再生*リバースカウンセリング」を軸に、サロンのほか、ワークショップや各種講座を主催。

無料メルマガ「母と娘の心の謎を解くメールカウンセリング」の会員は海外まで広がり、現在は7,000名を超える。著書に『お母さん、私を自由にして!』『恋愛低体温症』がある。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。