「子育ては、肩の力を抜いて、テキトーに」「頑張らないくらいがちょうどいい」
先輩ママや専門家がそんなアドバイスを口にするのを見聞きしたことはありませんか?
多くの場合その真意は、ママが無理してストレスを抱えたり、心配や干渉をしすぎたりすると、かえって子どもにはよくないから、子育てでは完璧を目指さず、ほどほどに取り組もうというものです。
内心ではその通りだなと思いながらも「テキトーとか頑張らずにとか、そんなのできない!」「肩の力ってどうやって抜くのよ!?」と言いたくなるママも少なくないはず。
そこで今回は、心理カウンセラーの高橋リエさんに、ママたちのマジメさの理由や、マジメゆえにしんどいママが肩の力を抜いてラクになる方法を聞いてみました。
「ちゃんとしないと」は昭和の強迫観念!?
仕事が忙しくても早朝に起きて子どものお弁当を完璧に仕上げるママ、体調が悪くても「ごはんは手作りでないと」と何品もの料理を作るママ……。
周囲には、超頑張り屋さんのマジメなママが溢れています。
一見テキトーにやっているように見えても、実は家事や育児を手抜きするたびに「もっとちゃんとしないと…」と自分を責めている“根がマジメ”なママもけっこう多いのでは?
高橋さんは、日本のママたちがマジメな理由について、次のように見解を話します。
「日本人には『○○でなければいけない!』という思い込みの強い人が、非常に多いです。
『ちゃんとしなければいけない』『いい人でなければいけない』『人に迷惑をかけてはいけない』…そのように強く思い込んでいるので、子育ても『いい子に育てなければいけない』『いい母親でなければいけない』という思いにとらわれて、必死になってしまうのですね。
これらの思い込みは、よく考えると、人から見てどうかが基準になっています。つまり、多くの日本人が、人によく思われないことを心底怖れているのです。
他にも『頑張らなければいけない』『ダラダラしてはいけない』『人に評価されなければいけない』『競争に勝たなければいけない』など、いろいろな思い込みがありますが、いずれも、もともとは子ども時代に親から刷り込まれた強迫観念です。
こうした思い込みを、私は ”昭和の強迫観念” と呼んでいます。
今の子育て世代の親の親たち、つまりママたちの祖父母は、苛酷な戦争を経て、食料不足・モノ不足の中を必死で生き抜いてきた世代。当時はご近所に嫌われたら、村八分になって生きていけなかったのです。
それゆえ我が子にも『人によく思われるように、必死で頑張りなさいよ』と教え込んだわけです。
だから今も、多くのママたちが、毎日必死で家事や育児を頑張り、自分の子どもが周囲に嫌われたり、評価されなくなったりすることを怖れて、日々あれこれと干渉や強要をしてしまうのです」
まずは思い込みを一つずつ洗い出して、考え直してみる
では、マジメなママたちは、どうすればもっとラクに子育てできるようになるのでしょうか?
「まず『○○でなければならない』と自分で思い込んでいることを一つずつ洗い出して、『今の時代は、そうでなくてもいいのかもしれない』と、考え直してみましょう」
子育て中の母親が思っている「○○でなければいけない」のほとんどは、時代錯誤の強迫観念だと、高橋さんは言います。
「今、祖父母の時代とは、社会が180度変わって、食料もモノも、あり余っています。昔なら村八分にされて食料を分けてもらえない…なんてこともあったでしょうが、今はご近所に嫌われたって、コンビニもスーパーもあるから生活には困りません。
だから本当は、人の目など気にしないで、自分と子どもにとって心地よい生活を、マイペースで、のんびり楽しんでいいのです。
でも、人の価値観というのはなかなか変わらないので、いまだに “昭和の強迫観念” にとらわれているせいで、しんどいのですね」