負担を可視化する
ずっと家事を妻だけに押し付け、仕事を免罪符に家のことには関わらずにきた夫には、負担を目に見える形で見せることで「本当の現実」を突きつけることができます。
ほかの家事で忙しく、洗濯物が取り込まれたまま放置するしかないときは、無理にこなそうとするのではなく「○○時に家に帰ってきてからこれだけすることがあって、そこまで手が回らない」とはっきり夫に伝えましょう。
帰宅したのにご飯が出来ていないと夫に文句を言われたら、「子どもたちが明日学校で必要なものを買いに行くことになって、時間がなかったの。ご飯が作れなくても当然でしょ」と事実を伝えれば、それに対してまでケチをつけるのは夫の人間としての器が小さいことになります。
無理をすればするほど、「家事も仕事もやれて当然」という夫の思い込みは加速していきます。
「これだけの負担をひとりで抱えるのは不可能」であることを目に見える形で見せなければ、夫はわからないのです。
生活は日々いろんな変化があり、夫の知らないところでイレギュラーなことはたくさん起こります。それらは、すべて妻が処理しなければならないのではなく、「家事と仕事を両立させるのはこんなに大変なんだ」と夫に知らせなければいけません。
夫に気づいてほしいのは、「家事は妻だけがするものではなく、共働きなら夫も負担することこそ当然」という価値観です。
スムーズに生活のリズムを回していきたいのなら、それぞれがやれることをこなしていくのが正解です。
洗濯物をたたむ時間がなかったのなら、帰宅した夫がやればいいこと。「疲れているのに何で俺が」は妻も同じ。夫のやらないことを負担している妻だって大変であり、夫なら「じゃあ俺がこっちをするから」と手を出す気軽さを持つほうが、本当はストレスがないはずです。
妻の引け目が夫の思い込みを育てる
筆者の周りにも、「ムカつくけど、『一日中仕事をしている俺のほうがしんどいだぞ』って言われたら黙るしかない」「パートくらいしかできる仕事がないから、稼ぎを持ち出されたら何も言えない」と、夫から受ける理不尽なストレスに苦しむ妻は大勢います。
ですが、その“引け目”こそ、夫にとっては自分の気持ちに疑いを持たない理由になります。
黙り込む妻を見て、「ほら見ろ、やっぱり俺が正しいんだ」と思う夫は多く、仕事と家事を両立できない妻を責めることに違和感を持たないのですね。
収入に差があっても、同じ家で暮らし、生活をともにするなら家事は分担するのが正しいありかた。実際には妻のほうがやることは多いとしても、手が回らないことは夫がするのが自然であり、それを知ってもらうのが「負担の可視化」です。
引け目を感じるからすべてをこなそうとするのではなく、「私にはこれだけの負担がある」という現実を目の前で見せれば、夫が持つ「家事は女の仕事」という思い込みは少しずつ揺らいできます。
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子どもが生まれてからの1〜2年、夫婦の生活スタイルは大きく異なります。
妻側はそれまで働いていた経験があれば一日中働くことの大変さは理解できますが、夫側では妻の大変さがなかなか理解できないのです。
しかし、今までに経験したことのない、育児、家事、仕事の両立は誰がどう言おうと難しいことであるのは確かです。
完璧にできないことに引け目を感じることなく、しっかりと自分のキャパシティを伝えてみましょう。