あなたは嘘をついたことがありますか?「ない」という人はいないと思います。人間関係を良好に保つために相手のことを思って“嘘も方便”になることもあれば、自分の身を守るために嘘をつくこともあります。子どもだって同じなのです。
でも、「素直な子に育ってほしい」と思っているのに、嘘をつかれるのは嫌ですよね。『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』著者の立石美津子が、子どもが嘘をつく理由についてお話しします。
子どもが嘘をつくのには理由がある
1.寂しいので気を引きたい
何をやってもパッとしない子。たいていの親は我が子がどんな子でも可愛いものなので、ありのままを認め、愛することが出来るのですが…中には常にママ友の子や兄弟姉妹、更には「私が子どもだった頃は、あなたよりも○○が出来た。どうして私の子なのに出来が悪いの!」などと言葉の虐待までしてしまう人がいます。
子どもは一番認めてほしい親から受け入れてもらえず、「自分はダメな子なんだ」と自信を失くします。
こうなると「何をやっても褒められないし、ママは認めてくれない。だったら、悪いことをして気を引こう」と考え、真逆の行動に走る子も出てきます。
上履きを隠す子の心理
筆者は、教室で子ども達の指導をしているのですが、褒められたり、認められたりする経験が乏しい子は、他人の私にでさえ“気を引こう”と必死になることがあります。
「自分が褒められる材料に乏しい」と悟っている子は、わざと大声を出してみたり、物を投げてみたりする“負の行動(=悪い行動)”に出ることがあります。
こんなとき、「静かにしてね」、「物を投げてはいけないよ」などと叱っても逆効果。実はこのような子にとって、“叱られること”はイコール“注目されていること”なので、更にあの手この手を使って注意を引こうとします。
嘘をつくのも同様の心理です。嘘をついてまで、大人の気を引こうとする子どもには、“見捨てられることの恐怖”が垣間見えます。
友達の上履きを隠して“叱られる”ことにより、気を引こうとする子もいます。更に中には頭を捻って、自分が隠したことは内緒にして「ほら、僕が見つけてあげたよ」と言い、上履きを差し出します。先生や友達に「ありがとう」という言葉をかけてもらうことを狙っているのです。悲しい行動です。
でも、その要因は大人が作っているのかもしれません。
2.叱られるのが怖い
お友達の持っているバッジを勝手に持ち帰ってきた子の話です。
母親「それ、どうしたの!」
子ども「○○ちゃんがくれたんだ」
その後、幼稚園から連絡があって“嘘”が発覚しました。ショックを受けたママは「嘘つきは泥棒の始まり!そんな泥棒、もう、うちの子じゃあありません!」と激昂し、外に叩き出しました。
さて、子どもはどうして「欲しかったから持って帰ってきちゃった」と言えなかったのでしょうか。親が悲しんだり、怒ったりする場面を見たくなかったのでしょうね。でも、子どもなのですぐにばれる嘘をついてしまい、更に悲惨な結末になってしまいました。
解決策
人の物を盗んだわが子に感情が高ぶってしまうのもわかりますが、こう言ってみてはどうでしょう。
親「そのバッジどうしたの」
子「〇〇ちゃんがくれたんだ」
親「本当のことを言って。ママ絶対に怒らないから」
子「持って帰ってきちゃった」
親「どんなに欲しくても、勝手に持ってくるのはよくないことだよね。一緒に謝りに行こう。本当のことを話してくれてママは嬉しい」
“徹底的にやり込める”のではなく、やって良いことと悪いことを教え諭すのです。こうすると人の物を盗んだり、さらに嘘をつくことも減っていくでしょう。