家計はあまり楽じゃないし、子どもにかかる手間も減ってきたなら、妻にも働いてほしい。でも、家事の負担は今まで通りがいい。

こんな一方的な夫の意見を聞くと、「不平等じゃない!」と頭にきますよね。

家事の負担を嫌う夫の本音は、ほとんどが「家のことは妻がするもの」という思い込みにあります。

仕事と家事の両立を望む夫には、どう向き合えば良いのでしょうか。

「家事は女の仕事」という思い込み

出産し、子どもが小さいうちは、多くの女性が育児をしながら専業主婦になります。

産休が明けて会社に復帰することが決まっている女性以外は、そのまま家のことと育児をこなし、生活費は夫が稼ぐという状態が続くでしょう。

自分は出産もせず、子どもが産まれても変わらず会社で働き続ける夫は、それが自分のやることだと信じる自分に違和感がありません。

子どもの世話で家にいるなら、家事もやるのが当然。それが妻の「仕事」であり、自分には関係がないと思うのですね。

ですが、子どもが大きくなって保育園や小学校に通い出すと、家で家事だけやっている妻は「楽をしている」と感じるようになります。

「俺はストレスを抱えながらこんなに頑張っているのに、妻は誰でもできる家事だけやっていればいい。こんなのは不公平だ。それなら妻にもパートでも出てもらい、少しでも家計の足しにしてほしい」

こう思うとき、夫は「少しの時間働きに出るくらいだから、そんなに大変じゃないはず」と勝手に決め込みます。

だから、家事の負担は今まで通りで問題はないはずだし、妻もやれるだろう。

これまでずっと「家事は女の仕事」と思ってきたので、「新しい負担が加わってもそれは変わらない」という思い込みが出来上がっているのですね。

「妻の大変さは妻の責任」という決めつけ

しかし、短時間のパートであっても、実際に外で働き始めると妻の負担は想像以上に大きなものになります。

子どもたちの登園や登校の準備を手伝い、送り出してからは洗濯などの家事をこなし、時間になればメイクをして着替えて仕事に行き、慌ただしく帰宅してからはお迎えに行ったり夕飯の買い出しに行き……。

仕事をしている間にできなかった家事をやりながら晩ご飯の準備をし、お風呂の用意もしなければならない。

帰宅した夫からは部屋が片付いていないことに文句を言われ、子どもたちからはご飯が手抜きだと不平が出る。

そんな妻を見ても、夫の意見は変わりません。

「お前のやり方がまずいんじゃないか」「要領が悪いんだよ」「もっと工夫したら?」「よそのお宅ではうまくやっている嫁が多いんだぞ」

これは、実際に筆者が妻たちから聞いた「夫に言われた言葉」です。

仕事と家事を両立できないのは、どこまでも妻の責任。自分は働いて生活費を稼いでいるんだから意見する権利があるし、「お前が大変なのはお前の責任だろ」ということなのです。

一方で、妻は自分のふがいなさに落ち込み、理解のない夫にショックを受けます。

「少しくらい手伝ってくれてもいいじゃない」と思っても、収入の差を持ち出されたら何も言えず、悔しい気持ちを無理やり飲み込むしかありません。

目に見えない妻の負担は、夫に届きません。

夫にとっては「家事は女の仕事」の思い込みがあり、そこに「外で働く」という大きなプレッシャーが加わっても、うまくやれて当然という決めつけから意識は動かないのです。