明治5年に創設された、日本で最も伝統のある博物館「東京国立博物館」。通称「トーハク」。全収蔵品は11万件を超える、日本最大の博物館でもあります。
去る9月4日、このトーハクの裏側が覗けるぴあ会員限定の「東京国立博物館バックヤードツアー」が開催されました。今回は、収蔵品の保存修復に関する部屋を訪れることができるということで、30人のツアー参加者とともに行ってまいりました。
いったい、博物館の裏側はどうなっているのでしょうか?
博物館における「保存と修理」の重要性
まずは、本館17室にある「保存と修理」のコーナーで、神庭特任研究員からの説明がありました。
博物館は、貴重な文化財を展示するだけでなく、それらを保存するのも重要な役割。
しかしおよそ20年くらい前まで、博物館に保存修復の専門家は所属していなかったそうです。
文化財は、展示をするだけでも劣化してしまう非常にデリケートなもの。
傷んでしまったものは、修復をする必要があります。
もちろん、現在でも修復作業は行われていますが、最近では「予防保存」という概念が重要視されています。
展示中のケース内での温湿度の管理はもちろん、バックヤードで保管している文化財も劣化しないように細心の注意を払われています。
以前は、「壊れたらから修理する」という考え方でしたが、それでは文化財が傷んでいく一方。
現在は、「きちんとした環境で保存していい状態を保つ」という考え方が主流になってきており、予防保存にも大変力を入れているということでした。
くわえて、文化財が環境の悪影響を受けていないか、破損しているところがないか、調査をする必要があります。
つまり、調査診断、予防保存、修理。この3つの柱が重要ということでした。
文化財の緊急治療室「実験室」へ
神庭特任研究員のお話のあと、一行はいよいよバックヤードへ。
そこには大きなエレベーターが!
仏像などの背の高い文化財を運ぶためのエレベーターとのこと。
これが数基、トーハク内にあります。一行はこのエレベーターに乗って地下へ。
地下の通路。なかなか入れるところではありません。
思わずキョロキョロしてしまいます。