世の妻たちよ! 新婚当初は優しくて頼り甲斐があった愛しいパートナーが、いつからか、優しくも頼り甲斐もない“ダメ夫”に変わり果ててはいませんか。
彼がそうなってしまったのは、彼自身のせい? もし、奥さんにも原因の一端があるとしたらどうでしょう。
妻としての務めを怠ったからではなく、むしろ逆。妻が夫に献身しすぎても、裏目に出てしまう場合があります。
今回は、フランス映画『居酒屋』(1956)を参考に、ダメ夫を作ってしまう“薄幸妻”について考えてみようかと。
幸せが遠のくのは、妻自身のせい!?
ざっと説明しますと、『居酒屋』はエミール・ゾラの名作をルネ・クレマン監督がヴィジュアル化した作品です。見ると、ヒロイン・ジェルヴェーズの並外れた幸の薄さに、唖然呆然とさせられます。
最初の夫ランチエは、女癖が悪くて怠け者。彼と別れたジェルヴェーズは、その後、パリの下町で自分の店を持つという、ステキな夢をかなえます。
お店は繁盛! しかしその陰で、今度こそ実直で優しいひと…だったハズの二番目の夫クポーが、やはり怠け癖にとりつかれちゃうんだなぁ。開業したジェルヴェーズが仕事に精を出すのを尻目に、クポーはランチエ以上に堕落の一途をたどるのです。
男運が悪すぎますよね。
それだけでは終わらず、彼女が最も恐れる存在ランチエを、クポーは兄弟のようにあたたかく迎え入れてしまいます。悪夢のような共同生活で、ジェルヴェーズのメンタルはぼろぼろに……。
なんて気の毒なのだろうと心から思いますが、こうなってしまう原因は彼女のほうにもあるような?!
“薄幸妻”の特徴(1) 妻が頑張りすぎる
女性の中には、外見は美しいのにどことなく惨めっぽくて、夫を酒や浪費や浮気に走らせやすい、”薄幸妻”とでも呼びたくようなタイプの人がいます。ジェルヴェーズは、典型的な”薄幸妻”の特徴を備えた女。
その特徴とは、自分一人で苦境に耐えて、頑張りすぎるところ。
夫が働かなくなっても、大酒飲みでもお金を使い込んでも、自らの稼ぎでどうにかやりくりしちゃう。ダメ夫を家から閉め出そうとはしないし、「そんなことばっかりやってるんなら、あたしが出ていくよ!」と切り出す気配もありません。
ひたむきに生きる女性って、魅力的ですよね。
しかし、これは男に利用されそうな頑張り方だわ……。
そういう妻の間違った頑張り方が、ダメ夫の中にあるダメさを極限まで引き出し、妻への依存度を高めていくという、悪循環を生み出すことに!