国は関係ない。映画で伝わるのは、人の心なんです
――カタリヤー監督の映画は、典型的なインド映画ではないんですね。
カタリヤー「典型的なインド映画ではないけれど、小規模予算で作ったにもかかわらずロングヒットになりました。多くの人が共感してくれたのだと思います。
日本の方も共感できると思いますよ。国は関係ない、言語や外見が変わっても関係ないんです。映画で伝わるのは、ただ一つ、人の心なんです。そういう映画を作るべきだと思っています。」
――逆に、この映画のインドらしさはあるでしょうか?
カタリヤー「お見合い結婚というテーマは、すごくインドらしいですね。今は恋愛結婚がもてはやされていて、伝統的なお見合い結婚が悪く言われているけど、いい面も書きたかったんです。」
――なるほど!日本でもお見合い結婚よりも恋愛結婚のほうが良い、という風潮はあるように思います。
カタリヤー「理想の恋愛結婚だったらなんでもうまくいくか、っていうと、そういうわけじゃないですよね。恋愛結婚だったら離婚しないわけじゃない(笑)。理想の相手と巡り合うストーリーではなくて、二人がどうやって結びついていくか、というストーリーです。結婚後に、どうやって相手の良さを見つけて、受け入れていくか、というテーマです。お見合いか、恋愛かっていうのは関係ないんです。」
この作品は「菊次郎の夏」と通じるところがあると思っています。
――インドのみならず、いろいろな国で支持されそうな内容ですね。
カタリヤー「その通りです!この作品も、最初から国際的に公開するつもりだったんです。完成してから配給会社から「素晴らしい出来だし、大作と公開日程もかぶっていない。まずは国内で公開するべきだ」と言われ、国内公開することになったんです。そこでヒットしたので映画会社としても自信を持って海外公開に踏み切れました。
中国、ヨーロッパ…。これからも各国で公開される予定です。良い映画は良い映画なんです。言語は関係ないんです。」
――映画の魅力は国を越える、ということですね。
カタリヤー「私たちインド人が黒澤明監督や北野武監督を知ることが出来たように、日本の方にインドの映画を知ってもらうことも出来ると思っています。北野監督の「菊次郎の夏」は、私自身本当に好きな映画です。「菊次郎の夏」は不完全な男と、子どもの物語。「ヨイショ!」は不完全な男と、その妻の物語。どこか共通点があると思っています。」
――おお、なるほど…。インドは映画市場が非常に大きいですし、国内で言語も多様なので、国内流通にエネルギーが割かれてしまうのかな、と考えていたのですが…。
カタリヤー「そういう事はないと思っています。一つの言語、たとえばヒンディー語でヒットした作品は、別の言語に翻訳されて他の州でも公開されます。その反応によって、さらに自信を深めるということもありますよ。日本で「きっと、うまくいく」や「マダム・イン・ニューヨーク」が成功したように、インドの映画は日本の方にもきっと伝わると思います。」
――熱いメッセージ、ありがとうございます!では、最後に日本の方々へ一言お願いします。
カタリヤー「みなさん、ぜひこの作品をご覧ください。楽しめて、笑って泣ける映画です。」
「ヨイショ!君と走る日」上映スケジュール
東京@ヒューマントラストシネマ渋谷
10/16(金)18:30-
10/17(土)16:30-
10/22(木)14:00-
大阪@シネヌーヴォ
10/21(水)18:00-